家電量販店業界大乱〜ヤマダの覇権は完成に向かうのか
(桐原 涼=経営評論家)
風雲急を告げる!
家電量販店業界の動向が、慌しくなってきた。その中心にいるのが、郊外型量販店の雄であり、“業界の暴れん坊”の異名を取るヤマダ電機である。
今まで家電量販店業界は、郊外型量販店と都心型量販店が並立する構造になっていた。前者の代表はヤマダ、エディオン、ケーズホールディングス。後者はヨドバシカメラ、ビックカメラが大手2強だ。だがヤマダが都心型業態「LABI」を立ち上げ、都心市場に攻め込んだことにより、一気に競争が激しくなった。
ヤマダはこの夏、ビックカメラの本拠である池袋に巨漢店舗LABI池袋を出店した。それも、ビックカメラとほぼ隣り合わせの立地にである。この“超激戦区”では、来店客がビックカメラとLABIの両店を行き来し、価格を見比べながら買い物をする。当然のことながら、値引き合戦は熾烈(しれつ)を極めることになる。
ヤマダは都心への出店だけではなく、M&A戦略にも舵を切った。今期は、ぷれっそホールディングスを子会社化した。同社は、業界の中堅企業であるマツヤデンキ、サトームセン、星電社を傘下に持つ。さらに、かつての業界トップ企業であるベスト電器の株式取得にも動いている。ヤマダの業容拡大志向は、とどまるところを知らないように見える。
群雄割拠の戦国時代から天下分け目へ
1990年くらいまでの家電量販店業界は、地域ごとに群雄が割拠する状況であった。例えば福岡のベスト電器、広島のデオデオ(現エディオン)という具合に、地域ごとに穏やかな棲み分けが成立していた。
その構図を打ち破ったのが北関東のYKKと呼ばれる、ヤマダ(群馬県発祥)・コジマ(栃木県発祥)・ケーズ(茨城県発祥)の3社である。この3社の商圏は重なり合っており、棲み分けは困難であった。必然的に激烈な競合状態となり、身を削るような値引き合戦が行われた。熾烈な競争の中でこの3社は、業界内で突出したコスト競争力を身に着けた。そしてこの3社は、コスト競争力を武器に全国制覇に向かい、郊外市場を席巻したのである。
東日本が地盤のYKKに対して、業界第2位のエディオンは西日本中心に店舗展開している。だが、このエディオンの地盤にも、ヤマダが急速に侵攻している。家電量販店業界における東西の両雄は、すでに直接的な競合状態にある。
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