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ポスト安倍政権と日中関係

2007年9月26日

(宮家 邦彦=AOI外交政策研究所代表)

 9月29日。日本と中国が国交を正常化してから、ちょうど35年を迎える。

 日中関係は、経済面において密接な関係を維持している。しかしながら、国民感情の面でいまだに冷え込んだ関係が続いているように見える。特に中国では、今年を「盧溝橋事件から70年」ととらえる動きがある。反日と友好との間でせめぎ合いが生じている。いっぽう日本は安倍前首相が突然辞任し、福田康夫氏が新首相に就任したばかり。今後の対中政策は明らかとは言えない。

 そこで、立命館大学客員教授・AOI外交政策研究所代表の宮家邦彦氏に、これまでの日中関係を振り返り、その政治面における将来像を展望してもらう。(nikkeiBPnet編集部)

9月12日午後2時、安倍晋三前首相が突然、辞意を表明した。それから1時間もたたないうちに、中国外交部は「最近の中日関係の改善に積極的に貢献した」として安倍政権を評価する談話を発表した。早速日本のメディアは、中国が現在の日中関係継続への「期待を表明」と報じた。小泉時代には考えられない、最近の安定した両国関係を象徴するような話である。果たしてポスト安倍時代にもこのような日中の「大人の関係」は続くのだろうか。

福田新内閣が発足したばかりの現時点で将来を見通すことは容易でないが、本稿では2期目に入る胡錦涛総書記と福田康夫首相の下での日中関係の行方について、取りあえずの分析を試みる。

日中関係:4つの視点

最初に、一般のビジネスパーソンが今後の日中関係を考えていく上で、ぜひとも念頭に置いていただきたい幾つかの視点につき説明したい。

1)日中関係の本質は「外交」ではなく、「内政」である

日中関係に費やされるエネルギーの大半は日中両国ともに内政関連だ。古くは1972年の田中角栄元首相による国交正常化、1987年の胡耀邦総書記の失脚、90年代の江沢民総書記による反日愛国教育、2000年以降の小泉純一郎元首相による靖国神社参拝に至るまで。いずれも日中国内の権力闘争のために二国間関係が利用された例である。この状況は今も全く変わっていない。

2)中国で「経済」とは、経済用語で表現される「政治」である

現在の中国は政治がすべてに優先し、経済行為の一つひとつが政治的意味を持ち得る。商売するにせよ、貿易交渉をするにせよ、中国には純粋な経済活動は存在せず、すべてが政治的理由で変わり得る。これを前提に戦略を立てなければならない。日本が望むような「政経分離論」など通用しないと覚悟してほしい。

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