「巻き込み戦略」にだまされるな〜平壌宣言5年と6カ国協議
(重村 智計=早稲田大学国際教養学部教授)
9月17日、平壌宣言が、締結から5年を迎える。しかし、拉致問題、核問題は依然として解決していない。早稲田大学の重村智計教授に、平壌宣言の意義と今後の拉致問題の展望を語ってもらう。
平壌宣言と拉致問題の進展は、小泉純一郎前首相の歴史的な成果であった。平壌宣言で日本は、日朝間の請求権問題を「経済協力方式」での解決することを、北朝鮮に受け入れさせた。だが、拉致問題は安倍晋三首相の誕生にもかかわらず、その後の進展は無い。実は、拉致問題が進展しない原因もまた、小泉政権に責任があるのだ。小泉純一郎前首相と外務省高官の「外交敗北」が、今もなお尾を引いているのである。
拉致問題が解決しない7つの理由
小泉純一郎首相は、5年前に歴史的な成果を上げた。平壌宣言と、拉致問題解決の扉を開けたのは、歴史的な成果である。
なぜ、拉致問題は解決しないのか。それは次の7つの理由と原因のためである。
1)拉致被害者全員の帰国を求めなかった
2)主権侵害を主張しなかった
3)拉致被害者救出よりも、支持率上昇が目的だった
4)日米同盟の共通の目的にしなかった
5)北朝鮮に、実行できない約束をしてしまった
6)外交ルートでのきちんとした交渉をしなかった
7)平壌の内部情報をきちんと入手できなかった
日本政府は、2002年9月の日朝首脳会談を開催する条件として、「拉致日本人全員の帰国を要求しなかった。金正日総書記に、「全員の帰国」を求めなかったのだ。
日本政府が要求したのは、「12人の安否情報」だけであった。12人とは、当時日本政府が「拉致間違いない」と認定した、日本人である。それ以上の日本人が拉致されているのは、間違いないのに、「北朝鮮が把握している拉致日本人全員の帰国」を求めなかったのである。
北朝鮮は、安否情報を要求されたから、「5人生存、8人死亡」の「安否情報」を教えたのである。北朝鮮の立場からすれば、日本政府が要求した「安否情報」に応じたのである。だから、外交的には「拉致は解決した」と言い張る根拠が、あることになる。
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