町村派でない与謝野官房長官と足並みがそろうか
2)真に適材適所の人事なのか。筆者は与謝野馨、高村正彦、町村信孝、額賀福志郎の4人の実力者の入閣は固いと1週間前から予想していた。しかし、その所管は適切とは言いかねる。与謝野氏は財務相、高村氏は外相、町村氏は官房長官、額賀氏は防衛相が適切ではなかったか。これに丹羽雄哉厚労相が加われば、適材適所のベストの人事だと思っていた。
秋の臨時国会の与野党最大の攻防戦は、テロ特措法延長問題である。となれば防衛庁長官経験者の額賀氏が、防衛相としては適任。高村氏は、経験のある外相がよかったのではないか。
安倍首相の後見人を自認してやまない森喜朗元首相は、「党における首相の女房役は幹事長、内閣における女房役は官房長官だ。そのうちの片方は必ず自派から出すべきだ」と、筆者に再三、語っている。
改革を主唱してきた小泉純一郎前首相ですら、自らの内閣では福田康夫、細田博之、安倍晋三と自派の議員を官房長官に登用してきた。だが安倍首相はこの前例を破り、森元首相のアドバイスを無視して、無派閥の与謝野氏を選んだ。今後、意志の疎通がうまくいけばよいのだが。
3)目玉商品も中途半端だ。新内閣の目玉商品は舛添要一厚労相と前岩手県知事の増田寛也総務相の2人だけ。しかも、初入閣が事前にもれてしまったために、サプライズとしての新鮮味に欠けた。情報管理面での甘さを指摘せざるを得ないのだ。民主党の鳩山由紀夫幹事長は「サプライズがないのがサプライズだ」と皮肉っている。
女性で初入閣の上川陽子氏は東大、ハーバード大学院、三菱総研勤務の経験が光る実力者だ。しかし、小渕優子、橋本聖子両氏のように知名度は高くない。
4)5人も留任者がいて人心一新と言えるのか。渡辺喜美行革担当相、冬柴鉄三国交相の留任は予測できた。甘利明経産相に関しては、「新YKK」で首相に批判的な山崎拓氏を棚上げさせて、甘利派への代替りをうながしたい首相の思惑が見え隠れしている。
5)いったい何を目指す内閣なのか。参院選惨敗を受け、安倍首相には中長期的課題である「改憲」を主唱する余力はない。しかし改憲論者であった鳩山一郎元首相の孫・邦夫氏を法相に据えたのは、「改憲」継続の意思表示と受け取られよう。 他方、所得格差拡大が参院選の主たる敗因である。この部分に対して次年度予算で新内閣がどのように対応していくかが注目される。
小沢一郎民主党代表を筆頭とする野党勢は、次年度予算案が成立する前の年内総辞職か解散を狙っている。現に「総選挙の投票日は12月16日」とする説すら出回っている。仮にそうなれば、新内閣は任期的にも中途半端な「選挙管理内閣」と化していくことになる。
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