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持株会社化は、上場への布石

最後に、上場するためには、なぜ持株会社化が必要なのか、説明しておこう。

「上場すれば株主の要請などにより、収益の拡大が求められる。しかし収益を追求していけば、コンプライアンスが軽視される恐れがある。その対応が求められた」(東証の二木広報課長) 

東証の主な業務は2つ。1つは有価証券などを売買するための市場施設の提供。東証は株式などの売買や、企業の上場に伴う手数料などでその収益を上げている。

しかし東証の業務はそれだけではない。相場の公表や有価証券の売買における公正の確保、情報提供や市場の管理者としての業務がある。こうした業務を軽視し、例えば、手数料欲しさに安易な上場を認めれば、市場は混乱する。これはすでに東証マザーズで経験済みだ。営利を追求するだけでなく、公正中立な立場で行動できる仕組みをつくらなければならない。

政府は2006年6月14日に、株や債券、デリバティブを規制するための金融商品取引法を公布した。この中で、取引所の公正中立を維持するため、1)社外取締役などで構成する自主規制委員会を設置する、または2)コンプライアンス部門を分離し、持株会社の傘下に別会社として置く、ことを義務付けた。

これに対して東証は、持株会社方式を選択した。「外形的に分かりやすいと考えたからだ」(東証の二木広報課長)。NYSEなど海外の取引所がこの方式を採用している。ちなみに大証は“自主規制委員会”を選択した。

では上場後、東証はどのような展開をしてくのだろうか。

東証はさらに、システム投資と資本提携を含めた提携を進めていくという。「これまでの基幹システムは今年の9月か10月までに増強し、1日2000万件の取り引きに対応できるようにします。これは、システムトラブルがあった2005年11月の800万件/日、これまでの最高である936万件/日をはるかに超える処理能力です」(東証の二木広報課長)。

さらに2009年後半までに次世代基幹システムの開発を進める。これは4000万件/日から5000万件/日までの処理が可能となるという。「2007年から5年間で300億円の投資を予定しています」(東証の二木広報課長)

またNYSEグループと株式の持ち合いを含めた本格的な資本提携を検討する一方で、ロンドン証券取引所とは新興企業市場における規制や運営の協力、新商品の相互上場、情報技術に関する情報交換などを進めていくという。さらに、会社法の改正により三角合併が解禁となったのを受けて、東証上場銘柄を外資系企業が買収する場合に支障が起きないよう対応していくという。

東証は厳しい国際競争の中で生残っていけるのか。今、岐路に立っている。

松崎 隆司(まつざき・たかし)

経済ジャーナリスト

中央大学法学部を卒業後、経済誌の出版社に入社。経済誌の記者やM&A専門誌の編集長などを経て1999年独立。経営論から人事、M&Aなど経済全般について取材を進めている。

主な著書
「会社破綻の現場」(講談社)
「闘う経営者」(実業之日本社)
「商売のしくみとしきたり」(日本実業出版社)
「教養として知っておきたい『昭和』の名経営者」(三笠書房)

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