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コムスン買収参戦:ワタミは真のビジョナリー会社になるか

2007年6月25日

(桐原 涼=フリーライター)

グッドウィル・グループ介護事業買収に名乗り

居酒屋チェーンを事業の中核とするワタミが、グッドウィル・グループの介護事業の一括引き受け(買収)に名乗りを上げた(関連記事)。現時点のワタミにとって、グッドウィル・グループの介護事業買収は、相当に背伸びをした計画であると言えよう。

同社の渡辺美樹社長によれば、買収想定額は最大5百数十億円になるとのことである。ワタミは外食業界の大手企業であるとはいえ、その財務基盤は強固とは言えない。2007年3月末の現預金は75億円しかなく、260億円あまりの有利子負債を抱える。フリーキャッシュフローも2億円しかない。この状態で500億円もの資金を捻出するのは容易ではない。ただし、ファンドからの資金供給はあり得る。その場合は、長期利益を追求するワタミと、短期利益を求めるファンドとの利害を調整する必要に迫られる。

またワタミは傘下に介護事業会社「ワタミの介護」を持ち、介護ビジネスに参入しているとはいえ、介護事業の売上高は70億円足らずだ。これに対して、コムスンを筆頭とするグッドウィル・グループの介護事業の売上高は800億円を超えている。ワタミの介護事業はそれに遠く及ばない。

しかしながらワタミの戦略には、必ずしも無謀とは言えないしたたかさもうかがえる。この点については後で詳しく述べる。その前にワタミの沿革をざっと紹介しておきたい。

外食企業から総合サービス企業へ

ワタミの創業者である渡辺美樹氏は小学生時代に父親の会社の倒産を経験し、「将来は社長になる」と心に決めた。渡辺氏はこの夢を実現するために克己努力を重ね、大学卒業後の1984年、居酒屋チェーン「つぼ八」のフランチャイジーとして起業した。1992年に「つぼ八」との契約を解消し、「和民」のチェーン展開を開始。1996年には、当時としては異例のスピードで株式公開を果した。

その後2002年にワタミファームを設立し、農業に進出。2005年には「アールの介護(現ワタミの介護)」を買収し、介護事業に進出した。さらに教育事業にも進出。渡辺氏は学校法人郁文館夢学園の理事長に就任。2007年にはワタミ介護学院を開設した。

ワタミの経営は、現在大きな転換期にある。2005年にはワタミフードサービスから、ワタミに社名を変更。2006年に持ち株会社体制に移行し、外食・介護・環境・農業・教育事業を多角的に展開する企業グループへの転換を図っている。

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