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コムスンが陥った陥穽〜急激な全国展開と改正介護法

2007年6月21日

(松崎 隆司=フリーライター)

自主廃業によって処分逃れを続けたコムスン

不正請求などが明らかになり、事実上の「退場宣言」とも言える新規指定・更新の受付停止処分を厚生労働省から受けた訪問介護大手のコムスン。その親会社、グッドウィル・グループは6月14日、コムスンをはじめとする介護関連事業を売却し、介護ビジネスから全面撤退することを明らかにした。

きっかけは、昨年12月18日から26日にかけて行なわれた東京都の監査だった。「監査をしたのは、厚生労働省から要請があったから。また、顧客から苦情がかなり上がってきていたため。大手の業者を対象に監査をした」(東京都福祉保険局指導監査部)

東京都が、大手業者が運営する都内183カ所の事業所のうち53カ所を監査したところ、コムスンをはじめ、訪問介護大手のニチイ学館とジャパンケアサービス(JCS)の事業所で介護報酬の不正請求が発覚した。

中でも、架空のヘルパーの名前を使った虚偽の指定申告や、「常勤管理者を配置する」という人員基準に関する違反をしていたコムスンの銀座ケアセンター、奥戸ケアセンター、千歳船橋ケアセンターの3カ所について、東京都は指定取消処分が相当と判断した。

指定取消処分は、今年3月23日の聴聞会を経て決定する予定だった。もし指定取消処分が決まれば、これらのケアセンターは今後5年間、指定の更新を受けられない。ところが「指定処分が相当だとして聴聞をするための通知をコムスンに出そうとしていたら、聴聞会を開く3月23日その日に自主廃業してしまった」(東京都福祉保険局指導監査部)。自主廃業の場合、事態が収まった後、改めて事業所設立の申請ができる。コムスンは、いわば、法の抜け穴をかいくぐったわけだ。

こうした状況を憂慮した厚生労働省は4月10日、全国の都道府県に、コムスンの事業所を一斉監査するよう指示。その後、岡山県や青森県、兵庫県をはじめとする5都県8事業所で、不正な手段による指定申請が発覚した。このうち青森県と兵庫県のケースは悪質で、指定取消処分に該当する行為だった。そしてコムスンは、いずれの案件についても、処分が決まる直前に自主廃業して処分を逃れた。

青森県にある「弘前城東ケアセンター」をコムスンが設立したのは、改正介護保険法が施行された昨年4月以降。改正法は、不正を行なった事業所を1カ所でも抱える法人は、すべての事業所において、以後5年間、事業所の新規指定や更新を受けることができない。これは連座制と呼ばれるもの。コムスンの場合、現在2081ある事業所が5年後には426に減ってしまう。事実上の退場宣告であるゆえんだ。

コムスンの樋口公一社長は6月8日の記者会見で「(自主廃業について)お客様へのサービスの継続ができなくなる。また、雇用が守れなくなるからやった」と言い訳をした。

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