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「ひかり電話」はまだまだ止まる

2007年6月8日

(谷島 宣之=「経営とIT」サイト編集長)

交換手を介さずに電話をつなぐ「自動電話交換機」が日本で初めて導入されたのは1926年1月のことという。当時は故障が多かったに違いない。それから80年あまり経ち、電話交換機による固定電話サービスは完成の域に到達した。家から固定電話をかけて、つながらなかったという経験をした人はもういないのではないか。

ところがここへ来て、電話がつながらないという事態が相次いで起きている。NTT東日本とNTT西日本の「ひかり電話」故障である。先月でいうと、5月15日から16日、23日、28日にそれぞれ、ひかり電話がつながらないトラブルが発生した。ひかり電話は2006年にも、3月、4月、9月、10月、12月と、つながりにくい状況になっていた。電話が日本に上陸して100年以上が経ったが、電話が簡単にはつながらない時代が再びやってきた。

いったんは完成したはずの電話が、なぜ今になってつながらなくなったのか。根本的な理由は、80年をかけて築き上げてきた交換機による仕組みから、インターネット技術を使ったまったく異なる新しい仕組みへ移行している最中であることだ。固定電話という巨大サービスを、従来と異なる新しい技術の上に移し替えるのは並大抵のことではない。と言って「止まっても仕方がない」と達観するわけにはいかないが、利用者はNTTが技術的に大変な挑戦をしていることを認識しておく必要はある。

電話ではないが、電話と同等

ひかり電話は、インターネット・プロトコル(IP)というコンピューター通信手順を使って音声をやりとりするサービスで、いわゆる「IP電話」の一種である。NTTは、従来の銅回線ではなく、光ファイバーを家庭まで敷設し、このファイバーを使って音声を送受信する。厳密に言えば従来の電話ではなく、データ通信サービスなのだが、NTTは固定電話に代わるものとして、ひかり電話を売り込んでいる。

確かに、ひかり電話の利用者は、IP電話を使うためのアドレス設定をする必要がないし、「03」のような固定電話と類似の番号が使え、110番など緊急通報ができる。これに対し、パソコンを使ったIP電話は、利用者が自力で設定をすれば、無料で通話できるものの、緊急通報はできないし、インターネットを介して音声データを送るので音声品質は保証されない。技術の進歩により、現在のIP電話はかなり品質の高い通話ができるが、固定電話の代替と言い切ることは難しい。

IP電話の一種であるひかり電話は、市販されている汎用のコンピューターと通信機器、インターネット技術を使って、サービスの仕組みを用意している。ひかり電話の通話ネットワークは、ルーターと呼ばれる通信処理用コンピューターによって構築され、通話は「呼制御サーバー」というコンピューターによって制御される。専用の交換機と専用の通信技術によって支えられている電話ネットワークとはまったく別ものである。

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