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携帯・固定電話間定額制サービスの本命はウィルコムではないか

実は、ソフトバンクと同様に、料金の定額制を前面に打ち出す事業者がいる。それは冒頭で触れたPHS事業者ウィルコムである。ウィルコム自身も、ソフトバンクを意識した価格戦略を打ち出している。

私は個人的には、携帯・固定電話間定額制サービスの本命はウィルコムではないかと考えている。ウィルコムはソフトバンクと異なり、定額制導入による通話量の増大に耐えられるネットワーク構造を持っている。また、法人向けサービスにおけるシェアもソフトバンク同様小さく、失うものは少ない。ウィルコムは現在主としてJ-COMと組んでいるが、より多くのIP電話事業者と組めば、市場を席捲(せっけん)する可能性もある。

今後固定・携帯間通信の定額制サービスを巡って競争が進むとすれば、ネットワーク構造に限界があるソフトバンクよりも、ウィルコムの方が有利と考えられる。通話が集中するのは、一般的に限られたエリアと考えられる。ウィルコムのネットワーク構造は、通話が集中する地域に機動的にアンテナを立てられる。一方、ソフトバンクをはじめとする携帯電話事業者のそれは、この点で適していない。

ウィルコムを含むPHSのネットワークはマイクロセルと言われる方式で、カバー範囲が数百メートル、コストは1台あたり数100万円程度のアンテナを立てる。一方ソフトバンクを含む携帯電話のネットワークは、マクロセルと呼ばれる方式で、カバー範囲が数キロに及ぶ基地局を立てる。このコストは1局あたり1億円程度かかる。

マイクロセル方式は、面積あたりの投資コストは高いが、ユーザーが集中している地域に機動的にアンテナを設置できる。このため、基地局のカバーエリアを細かく設定して周波数あたりのユーザー数を増やすことが可能だ。つまり通話量の増加に対応する力が高い。マクロセル方式は、基地局を増設するのにかかる金額が大きく、基地局の規模も大きい。PHSのように通話が集中するエリアに、きめ細かく効率的に基地局を設置することは困難なのだ。

冨島 正雄

株式会社日本総合研究所 企業革新クラスター 主任研究員。慶応義塾大学経済学部卒業。NTT東日本を経て、慶応義塾大学経営管理研究科修了。2003年 日本総合研究所入社。主として経営構造改革やIT事業戦略立案プロジェクトに従事。

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