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ソフトバンクの「固定+携帯」、その効果と勝算を探る

2007年5月28日

(冨島 正雄=日本総研 企業革新クラスター 主任研究員)

日経ビジネスの報道によると、ソフトバンクが近く、「おとくライン」と携帯電話間の通話について、通話料金を定額使い放題にするサービスを発表する(関連記事)。「おとくライン」はソフトバンクテレコムが提供する企業向け固定電話サービス。これと、同一企業が契約するソフトバンクモバイルの携帯電話との間の通話を定額にするのである。

これは、FMC(Fixed Mobile Convergence)サービス、つまり、固定電話と携帯電話の融合サービスの一種と言える。FMCサービスによって利用者は、固定電話の請求書と携帯電話の請求書を1枚にまとめることができるうえに、固定電話と携帯電話をセットにすることで割引が期待できる。このため、利用者の利便性が高まると言われている。特に固定・携帯間の通話料まで定額にするのは、携帯電話事業者としてはソフトバンクが初めてとなる。現在は、PHS事業者のウィルコムとCATV大手のJ-COMの連合が手がけているのみだ。

では、このようなサービスを打ち出す意義と限界は何であろうか?

固定電話と携帯電話の法人向けサービスの規模と状況、ソフトバンクのシェアを確認したうえで、新サービス開始の意義を探り、最後にソフトバンクの定額制戦略の限界を考えてみたい。なお、数値はあくまでも筆者の推定であり、実際とは大きく異なるケースもある。

法人向け固定電話市場におけるソフトバンクのシェアはきわめて小さい

最初に、固定電話における法人向け市場の市場規模を推定したい。筆者の推定では、固定電話の市場規模は年間約5兆円である。加入者数ベースでは、全体の約30%が事務用。事務用1回線あたりの売り上げは住宅用の約2倍なので、固定電話市場のうち法人市場は約半分、つまり2.5兆円程度と言える。ちなみに、固定電話市場は毎年約5%以上縮小しており、将来性は限られている。

このうちソフトバンクのシェアはどれだけであろうか。実は、極めて小さい。ソフトバンクのIR資料から推定すると、固定電話における法人向け売上は約1000億円であろう。つまり、法人向け固定電話市場におけるソフトバンクのシェアは約4%である。

ソフトバンクの通信事業はYahooBB、携帯電話を含めて年間約2兆円の売り上げがあると考えられるので、法人向け固定電話の売り上げはソフトバンクの通信事業の約5%と推測される。つまり、ソフトバンクにとっても、法人向け固定電話の売り上げ規模は小さい。この状況は、NTTと大きく異なる。NTTにとって法人向け固定電話市場は売り上げの約半分を占める大きな収益源であり、重要度は非常に高い。

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