流通大手が独自電子マネーにこだわる理由
(高野 雅晴=ビットメディア代表取締役社長)
(第1回はこちら)
筆者はオートチャージ機能付きのPASMOカードを持ち歩き、さらにEdy、イージーモバイルSuica、iDがインストールされたおサイフケータイも保有している。こうした状態の利用者は増えているに違いない。このようななかでさらにnanacoやWAONが登場するのはどう考えても供給過剰に思える。それでも敢えて流通大手が独自の電子マネーにこだわるのはなぜか。そのねらいを大きく四つに分類して考えてみよう。
具体的には、1)マーケティング、2)販売促進、3)現金管理の効率化、4)他社提供を含めた金融ビジネス展開、である。
新たな「顧客分析ツール」に

電子マネー「nanaco」を使って買い物をするセブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長(写真提供=共同通信社)
一つ目は電子マネーを利用する顧客へのマーケティングである。WAONカードは無記名で購入できるが、nanacoを入手するには氏名、住所、生年月日といった個人情報を申込書に記入しなければならない。この点ではセブン&アイのほうが情報収集について徹底している。ただし、仮に無記名であっても、カードのIDをトレースすることで、来店購入頻度、前回と今回の購入商品の相関関係、購入金額の推移などを分析することは可能になる。いわゆるRFM分析への活用だ。
RFM分析とは優良顧客を見つけ出すためのマーケティング手法だ。R(Recency 最新購買日)、F(Frequency 購買頻度)、M(Monetary 購買金額)を分析することで収益に貢献する顧客かどうかを見分ける。こうした分析はいわゆるポイント・カードでも可能だが、「流通事業者が発行するお金」という、より直接的な手段を取って、その顧客に対してきめ細かいサービスを提供することでロイヤリティをさらに高める効果が期待できる。
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