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全国学力テストの問題性と課題(前編)〜学校・地域の序列化を招く、サンプル調査で効果は上げられる

2007年4月27日

(藤田 英典=国際基督教大学教授)

本年(2007年)4月24日、「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が実施された。文部科学省の説明によれば、同調査の目的は、次の2点にある。

1)「全国的な義務教育の機会均等と水準向上のため、児童生徒の学力・学習状況を把握・分析することにより、教育の結果を検証し、改善を図る」
2)「各教育委員会、学校等が全国的な状況との関係において、自らの教育の結果を把握し、改善を図る」。

筆者は、教育・指導方法の改善・充実のためにも適切な学力調査は必要だと考えている。しかし、今回のような全国学力テスト(全学校・全生徒が参加する悉皆調査)には批判的であり、2005年の中央教育審議会・義務教育特別部会でも実施に反対し、その後も、様々な機会に批判的な議論を展開してきた。

というのも、上記1)の目的のためにはサンプル調査で十分だからだ。また、2)の目的については、教育上あまり意味がないというだけでなく、学校の序列化やテスト学力偏重などの弊害が起こるからである。

学校・地域の序列化と学校間・地域間の競い合い

悉皆調査の技術的メリットは、学校別・地域別(都道府県別・市町村別)の成績一覧を出すことが可能になる点にある。したがって、もしその気になれば、その成績の学校別・地域別一覧を公表し、学校間・地域間の競い合いを奨励・促進することができる。そのうえ、東京都足立区が実施を決めたように、その成績に応じて予算その他の資源を差異的に配分することも可能になる。そうなれば、学校・地域がテストの成績によって序列化・格差化されることになる。

ただし、この点について、市場的競争を重視する規制改革会議や教育再生会議は、こうした競争と格差化によって学力や教育の質の向上が図られると主張している(筆者は、競争が必要でないと考えているわけではない。学校現場や教育の世界には受験競争や部活動など学校間の競争などを含めて様々の競争がある。それ以上のゆがんだ競争は弊害が大きいと考えている)。

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