東京ミッドタウンの登場で、六本木が銀座並になる可能性〜麻布十番の次は乃木坂に波及効果
(文・写真=畠中 茂)
3月30日、東京・六本木に「東京ミッドタウン」が開業した。防衛庁跡地の10ヘクタールという広大な土地に、住居やオフィス、世界NO1の呼び名も高いホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」を併設した巨大複合施設である。三井不動産が中心となって開発した。
メイン塔となる「ミッドタウン・タワー」は54階建てで高さ248m。近隣で最大のライバルとされる六本木ヒルズの森タワー(238m)を10m上回った。これは後発としての意地だったに違いない。オープン3日間での集客人数は55万人。六本木ヒルズ開業時の95万人には遠く及ばなかったものの、初日の大雨やまさかの雪などの天候を考えればまずまずの滑り出しだったと言えよう。
筆者は、開業から1週間、朝・昼・晩と時刻を替えて東京ミッドタウンに通った。この生の感想も入れつつ、周辺の環境事情と合わせて、これからの六本木を検証する。
東京ミッドタウン最大の特徴“分かりやすさ”と“空間の贅沢さ”
「六本木に同じ施設は2ついらない」。東京ミッドタウン開業にかかわったプランナーやデザイナー、設計者たちの「してやったり」の声が聞こえてきそうだ。「都心の上質な日常」をテーマに、富裕層をターゲットに絞り込んだ施設を完成させたのである。ルイ・ヴィトンやティファニーのような人気スーパーブランドも入っていなければ巨大シネコンもない。まして会員制のレストランや図書館もない。

「ミッドタウン・タワー」を中心とする東京ミッドタウン外観。建築デザインはWTC(ワールド・トレード・センター)再開発も手掛ける米国最大級の建築設計事務所SOM
東京ミッドタウンは六本木ヒルズを徹底的に研究して六本木ヒルズにはない要素や業態の取り込みに果敢に挑戦したように思える。
施設の構造を検証すると、まず「分かりやすい」。どこに何のお店があるのか、すぐに分かる。発見する楽しさを想定して迷路のように造ってしまった六本木ヒルズとは対称的である。全長150m、高さ約25mの「ガレリア」と呼ばれるゾーンでは、4層吹き抜けの周囲に、ショップを回廊状に配置した。筆者の知人のデベロッパーは「地方のショッピングセンターによくある造り。目新しさはない」と酷評した。しかし「分かりやすさ」を優先させたという点では正解だったのではないか。ありがちな構造を採用しつつも、本物の竹を設置したり、吹き抜けの壁面部のデザインに凝ることで安っぽさを排除した。「表参道ヒルズ」の成功から分かるように、どうやら日本人は開放的な吹き抜け空間を好むようである。
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