サッポロHD対スティール、想定される4つのシナリオ
(永井 隆=ジャーナリスト)
サッポロビールが揺れている。
米系投資ファンドのスティール・パートナーズが、ビール業界3位のサッポロビールの持ち株会社であるサッポロホールディングス(HD)に対し、2月15日に買収提案したためだ。スティールは、TOB(株式公開買い付け)によりサッポロHD株の66.6%取得を目指すとしている。
サッポロHDの大株主としてスティールが登場したのは2004年10月。大量保有報告書で、サッポロ株5.13%の取得が明らかになった。以来、株式を買い増し、今年2月1日時点で18.64%を保有する筆頭株主である。66.6%まで買い増した場合の買収総額は、約1500億円となる見込み。TOBの買い付け価格を1株825円程度と提示しているためだ。
不振のサッポロを投資の標的に
ビール系飲料市場は、1994年の5億7321万2000箱(1箱は大瓶20本=12.66リットル)をピークに縮小し続けている。昨年のビール類の総出荷量は4億9750万ケース。12年間で13%以上も落ち込んだことになる。とりわけ2002年(5億4742万2000箱)以降の縮小率は大きい。これは少子高齢化や20代のビール離れなどが要因だ。アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーの4社体制の維持自体が実は難しくなっている。
サッポロは3位メーカー。2006年12月期連結決算は、売上高が前期比4.1%減の4350億円、純利益は35.6%減の23億円で、2期連続の減収減益。2006年度はビール大手4社のなかで唯一の減収減益だった。連結売上高に占める酒類事業の構成比が75%と高いのも特徴。その一方で、恵比寿ガーデンプレイスなどの保有不動産の時価は3000億円以上と目されている。
買収提案したスティールの狙いは、投資目的にほかならない。昨年秋、明星食品に敵対的買収を仕掛け、ホワイトナイト(白馬の騎士)として登場した日清食品のTOBに応じて売り抜き、36億円もの利益を得た。対サッポロでも同様に、利益確保を目的と見るのが順当だろう。業界再編はもちろん、ビール会社の経営に興味はない。
サッポロ以外にも、ブルドッグソース、江崎グリコ、キッコーマンなど食品株を中心に多数取得。発行済み株式数の5%超を持つ銘柄は28に及び、これらを合算した時価総額は4000億円を超える。
こうしたなかで、スティールとサッポロとの攻防が、現在進行形で繰り広げられている。
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