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日本の後を追う欧米諸国は、移民受け入れに向けて準備を進めている

日本に次いで人口減少が始まると見られているのはイタリア、ドイツ、フランスなどの西欧諸国だ。実はこれら西欧諸国では、着実な移民政策が進められている。「ドイツは移民政策で失敗し、ネオナチの台頭など社会的摩擦に悩まされている」と日本では信じられている。しかし、そのドイツは2005年、新たな移民法を施行し、高度技術者に対して優先的に移民許可を与えるようにした。移民に対するドイツ語教育の拡充も打ち出した。

イタリアも2002年9月、新しい移民基本政策を規定する「ボッシ・フィーニ法」を可決。これにより不法滞在者にも救済の道を開いたり、家族の呼び寄せができるようにするなどの措置が始まった。永住権の取得や年金受給の資格も緩和されたという(関連情報)。

フランスも同様だ。日本では、2005年秋にフランスで発生した移民の若者による暴動がテレビでひんぱんに放映され、移民に対する恐怖が高まった。だが、そのフランスでも、その後の移民政策に大きな揺り戻しはなかった。フランスでは「暴動の根底にあるのは、民族の対立よりも労働者の失業問題。その対処が必要」との見方が定着している。

ドイツで移民法成立に尽力したディーター・ヴィーフェルスピュッツ議員は2年前、筆者とのインタビューでこう語った。「入ってくる外国人を労働力としてだけ見てはいけない。人間は、固有の歴史、文化、宗教など、それぞれのバックグラウンドを背負ってやってくる。『働く人』として受け入れるのではなく、『人』として、彼らの長所や短所を含めて受け入れることが大事だ。外国人を受け入れるためには、幼稚園、高校、大学、さらには老人ホームや墓も要る。これは単に労働力の問題ではなく、『総合芸術』である」

筆者は、整備された移民法を日本でも検討するべき時期に来ていると考える。もちろん少子化対策として、出生率を上げるためにこれまで以上の政策が必要なことは言うまでもない。ただ、現在の人口を維持または人口減少の加速度を緩めるためには、出生率を大幅上昇させる必要がある。これまでの政府の少子化対策では生ぬるい。

移民法が制定される可能性について、筆者はまだ極めて悲観的だ。「隣の家に外国人(特にアジア人)が住む」ことに対する日本人の嫌悪感はまだ大きく、これを変えるのには長い時間がかかるからだ。そして、この種の嫌悪感は高齢者ほど打ち消しにくい。「楽観論」が、主に年配の人から出ていることはその裏返しではないだろうか。一方、40歳代以下の世代は、人口減少時代についてより真剣に危機感を持ち、移民の受け入れに肯定的な意見が多いようだ。これは、若い世代ほど年金受給についての不安が大きいこととも関係している。

人口減少は「楽観論」では解決できない。腹をくくって移民を受け入れる以外は、「永遠の右肩下がり」を甘んじて受け入れるしかない。その先にあるのは、国家の滅亡だ。国立社会保障・人口問題研究所が発行する「人口問題研究」の推計によると、西暦3000年に日本の人口は14人となるいう。これを「1000年後の話だから」と笑うことができるだろうか。

日本人は大きな選択を迫られている。2007年は、こうした議論が活発になる年であってほしい。

【Q3】アップルの携帯電話。国内キャリアとの提携は?

森 摂(もり・せつ)

経済ジャーナリスト。NPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)代表、雑誌「オルタナ」編集長(今年3月創刊)。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社に入社。流通経済部、ロサンゼルス支局などを経て2002年独立。同年、世界の日本語ジャーナリストのネットワークであるNPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)を立ち上げる。総合誌や経済誌でブランド論、経営論、人口減少論などを執筆している。

主な著書
「ブランドのDNA」(日経BP社、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)
「ウェブ時代の英語術」(NHK出版、馬越恵美子・桜美林大学教授と共著、2005年)

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