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住基ネット訴訟、分かれる二つの判決

2006年12月20日

(千葉 博=弁護士:矢野・千葉総合法律事務所)

住基ネットは、住民基本台帳ネットワークシステムの略。居住関係を公証する住民基本台帳のネットワーク化を図り、氏名、生年月日、性別、住所の4情報と住民票コードにより、全国どこでも本人確認を可能とするシステムです。地方公共団体が共同で利用しています。

住民基本台帳をネットワーク化

住居の居住関係の公証、選挙人名簿の登録、社会保険関係の管理…地方公共団体が住民に関する情報を保有管理することの必要性は否定できません。従来、この役割を担ってきたのが、住民基本台帳です。住民基本台帳については、「住民票の元となるもの」と言った方がイメージがわきやすいかもしれません。各市町村が、世帯ごとに住民票を作成し、住民の居住関係をめぐる事務に当たっています。

住基ネットは、この住民基本台帳に関する事務処理を市町村の区域を越えて行えるように、各市町村の住民基本台帳をネットワーク化しました。国や都道府県の行政機関に対して本人確認情報を提供するためにも利用しています。

住基ネットに流される情報は、住民票に載っているすべての情報ではありません。住民票には、1)氏名、2)出生の年月日、3)男女の別、4)世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及びその続柄、5)戸籍の表示、6)住民票コードなど、多岐にわたった情報が載っています。このうち住基ネットに登録されるのは、基本4情報と呼ばれる1)氏名、2)出生の年月日、3)男女の別、4)住所と住民票コード、およびこれらの変更情報だけです。住民票コードというのは、11桁の乱数で付された番号で、これによって本人を特定します。住基ネットに流される情報がこれだけにとどまるのは、本人確認のためにはこれらの情報をもって足りると考えられるからです。

このような住基ネットを作った目的として総務省は、行政の分野でも情報通信技術を活用し電子政府・電子自治体を実現する、24時間体制で行政サービスを提供する、なりすまし防止などのために個人認証サービスを整備することなどを挙げています。

住基ネットによる情報管理はプライバシー権を侵害するか?

この住基ネットに種々の問題があるとして、これまで、個人が情報の削除を求めたり、自治体が不参加の意思表明をしたりしました。複数の訴訟が展開されています。

住民側の主張は、事件ごとに違いがありますが、主なところは共通です。1)住基ネットで住民の情報を取得保管することは、集約した個人情報の活用法が不透明なこともあり、プライバシー権の侵害となる恐れがある。2)住基ネットが保管する個人情報は、市町村と都道府県、および総務大臣指定の情報処理機関である財団法人地方自治情報センターがそれぞれ設置・運用するサーバーに保存する。この安全性が不十分であり、漏洩の危険性が解消されていない。

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