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現行の基本法は、戦後60年の日本の教育と社会の発展を支えてきた教育の根本法である。現下の様々の教育問題・教育課題の原因となっているわけでもなければ、それらの問題・課題への対応を妨げているわけでもない。言い換えれば、いまそれを変えなければならない理由や必要性はまったくない。

どうしても変えなければならないという状況にあるのでないかぎり、このように重要な法律の改定は、もっと落ち着いた時期に、十分な検討・審議を経て進めるべきである。日本の将来と子どもたちの未来に禍根を残すことのないように、立法府の良識と賢明な判断を期待する。同時に、拙速で無責任な決定が行われることのないように国会審議に対する国民の注視を期待したい。

参考文献
辻井喬・藤田英典・喜多明人編『なぜ変える? 教育基本法』岩波書店2006年(暉峻淑子論文・中川明論文を含む)
藤田英典『義務教育を問いなおす』ちくま新書2005年
藤田英典『教育改革のゆくえ』岩波ブックレット2006年

藤田 英典(ふじた・ひでのり)

国際基督教大学教授、専門は教育社会学。1944年生まれ、石川県金沢市出身。

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。スタンフォード大学教育系大学院修了(Ph.D)。

住友銀行、名古屋大学教育学部助教授、東京大学教育学部教授、同教育学部長・教育学研究科長を経て、2003年4月より現職。東京大学 名誉教授。

現在、日本学術会議会員、日本学術振興会・学術システム研究センター主任研究員などを兼任。教育改革国民会議委員(2000年)、中央教育審議会・義務教育特別部会委員(2005年)などを歴任。教育改革関連の主な著書:『教育改革のゆくえ:格差社会か共生社会か?』(岩波ブックレット、2006年)、『義務教育を問いなおす』(ちくま新書、2005年)

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