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米中間選挙をメディアで追う

2006年11月17日

(岩下 慶一=ユナイテッドフィーチャープレス)

選挙前から、共和党は“危機”が騒がれていた。結果は、上院・下院とも民主党が過半数を獲得。任期2年を残すブッシュ政権は苦境に立たされることになった。同一の党が上下両院を支配するのは、1994年のクリントン政権のとき以来である。

選挙前後のメディアの報道から、今後の政局を占う参考になりそうなものをピックアップしてみよう。

ブッシュ大統領の不人気が敗因

今回の中間選挙ほど、現職大統領の不人気が与党の足を引っ張ったケースは珍しい。その支持率は選挙直前には35%まで落ち込んでいた(CNN 11月5日)。

共和党候補者は、ブッシュ大統領との関係が強調されるとマイナスになる、と戦々恐々。ブッシュ大統領が応援に出かけたフロリダ州では、知事候補に同席を避けられる始末だった(タンパ・トリビューン 11月6日)。逆に、民主党サイドは、対立する共和党候補がブッシュ大統領と仲睦まじく写っている写真を掲げてイメージダウンを狙う戦略をとる候補があった。

国内経済は順調であるにもかかわらずこの不人気。最大の原因はイラク戦争である。

今回の中間選挙はイラク戦争に対する国民投票

今回の選挙の争点になったのは、イラク戦争、テロ対策、移民問題の3つ。中でもイラク戦争への関心は高かった。ウォールストリートジャーナルの出口調査では、イラク戦争に「最も関心を払う」と答えた市民は69%、「テロ対策に関心を払う」の72%とほぼ並んだ(11月8日)。

米国人にとってテロは身近な脅威であり、日常の安全の確保はここ数年のもっとも大きな心配事であった。であるにもかかわらず、イラク戦争がこれと同等の関心事になったところを見ると、イラク戦争に対する人々の不満がいかに大きいかが伺える。一向に好転しないイラクの状況は、ふだんは政治に無関心な層まで投票所に足を運ばせた。そして彼らの票のほとんどが民主党に投じられる結果になった。ニューヨークタイムズは今回の中間選挙を「イラク戦争についての国民投票」だと言い切った。 

次席大統領補佐官のカール・ローブ氏は今年1月、「テロにからめた安全保障の必要性を強調すれば勝てる」と楽観的な発言をしていた(ワシントンポスト 1月21日)。しかし、イラク戦争に対する人々の不満はくすぶり続けていた。

さらに9月には共和党のマーク・フォリー下院議員の少年愛スキャンダルが明るみに出てしまう。そして直前に共和党に再び逆風が吹く。投票の約10日前、米国メディアは、10月のイラク駐留米軍の月間死者数が過去2年で最も多い98人になったと一斉に報じた。このニュースが米国を覆う厭戦(えんせん)ムードに拍車をかけることになったのは間違いない。

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