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番号継続制度は大山鳴動鼠一匹か? 地殻変動の予兆か?(2)

2006年10月27日

(山田 肇=東洋大学経済学部教授)

(前編はこちら

SIMロックを解除したい

次の焦点はSIMロックだろう。SIM(Subscriber Identity Module)とは、携帯電話会社が発行するICカードで、加入者情報を記録している。携帯電話機に挿し込んで加入者の識別に使う。

ドイツやアメリカなど欧米では、SIMにロックがかかっていない携帯電話機(SIMロックフリー)が当たり前である。加入者は、SIMを挿し替えることで、複数の携帯電話機を同じ電話番号で利用できる。利用料金もSIM単位に課金される。例えば、ビジネスシーンに適した携帯電話機とウィークエンドにアウトドアで使う防水仕様の携帯電話機という具合に複数の携帯電話機を用意して、SIMを挿し替えて同じ加入者扱いで使うことができる。別の携帯電話会社のSIMを挿し込んでもかまわない。外国に旅行するときには、例えばふだん利用しているGSM端末を持っていき、現地の携帯電話会社が提供するSIMを挿し込んで、通話料金を安く済ませるのも可能だ。そのために、SIMは標準化されている。

日本でも、同じ携帯電話会社が販売する携帯電話機間なら、SIMを抜き挿しして同じ加入者扱いで利用できるようになってきた。しかし、携帯電話会社を越えるのは無理だ。外国旅行用にGSM対応のSIMを販売している例もあるが、あくまでも、その携帯電話会社が提供する海外ローミングを利用するためだけのこと。SIMという本来、加入者に自由を与える仕組みが、囲い込みによって完全には機能していない状態だ。

SIMロックがかかっているのは販売制度がおかしいから

SIMロックフリーの便利さがわが国で利用できないのは、携帯電話機の販売制度がおかしいからだ。原価の高い携帯電話機を安値で販売する。その損失は、後で月々の料金から回収する。そんな仕組みでわが国の市場は形作られてきた。SIMロックをフリーにすると、2台目の携帯電話機を安価で購入し、すぐに解約する加入者が増えかねない。そうなると、携帯電話事業者は損失を回収する機会を逸してしまう。

初期費用を抑えることは、普及期には適しているが、長い期間同じ携帯電話機を使い続ける加入者には不利な仕組みである。総務省の内外価格差調査でも、日本の携帯電話料金は決して安いとは評価されていない。世界一安価と言われるブロードバンド料金とは大きな違いだ。

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