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北朝鮮は弾道ミサイルに搭載可能な爆縮型を開発し続ける

2006年10月13日

(江畑 謙介=拓殖大学海外事情研究所客員教授/軍事評論家)

核爆発には核分裂型と核融合型がある。前者は原子爆弾(原爆)、後者は水素爆弾(水爆)に利用する。原爆は原子が核分裂をするときに放出するエネルギー(X線、光、熱、それによる爆風)で破壊を行うもの。水爆は水素(重水素と三重水素)が核融合を起こすときに出るエネルギーを利用するものである。

核融合には高温が必要で、水爆では原爆を爆発させて生み出される高温を利用する。従って水爆を実用化するには、まず原爆を実用化せねばならない。また原爆の爆発力(一般にTNT爆薬換算重量で表す)は100キロトン(KT=100×1000キロ=10万トン)以上にするのが難しい。大きな威力を持たせるためには水爆にせねばならない。

北朝鮮は、ウラン型とプルトニウム型の両方を開発している可能性がある

ウラン235は天然に産する。だが、ウラン鉱石におけるウラン235の含有量は0.7%しかない。99%強を占めるウラン238から分離・濃縮する必要がある。濃縮にはいろいろな方法がある。いちばん多いのはガス遠心分離法で、六フッ化ウランというガス状にしたウラン鉱石を超高速で回転する円筒(遠心分離装置)に入れて、質量(重さ)の違いからウラン235と238とを分離する。これを繰り返して濃縮するのだが、原爆に利用するには92%以上に濃縮する必要がある。

これに対してプルトニウム239は自然界に全くといってよいほど存在しない。このため、原子炉の中でウラン燃料を燃やし、中性子が当たって生じたプルトニウム239を、使用済み燃料を化学処理する方法で取り出す。核兵器に必要な純度は93%以上とされる。

プルトニウムの生産には原子炉と燃料再処理施設が必要となる。原子炉は冷却用の水を得るために川や海の近くに造らねばならず、地下に隠すことは難しい。北朝鮮は寧辺で1980年代末から熱出力25メガワット(MWt)の実験用原子炉の運転を開始し、1991年から再処理施設(と推測される建物)の稼働を開始しているので、まずプルトニウム型原爆の開発を進めたのではと推測されている。

しかし北朝鮮は、核兵器用ウランの製造も行っていると推測される。「核の闇市場」をつくったパキスタンのアブドル・カーン博士は、1990年代後半から北朝鮮にウラン濃縮技術の提供を始めたと語っている。北朝鮮自身もウラン濃縮を認めている。ウラン濃縮は地下施設でもできるので、どこでどの程度の規模で濃縮を行い、現在どの程度の段階に進んでいるのかは全く分からない。

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