GMとルノー・日産の破談、その3つの原因
(吉田 信美=自動車経営開発研究所 所長)
巨額の出資は、soft alliance戦略に不都合
日本時間の10月5日、仏ルノー、日産自動車、米ゼネラル・モーターズ(GM)は、82日間続けた提携協議を打ち切ると発表した。GMと日産の発表文を読むと、打ち切りの原因は2つに絞られている。
第1は、提携によるシナジー効果の合計額がいくらになるのか、その利益の分配はどうなるのかについて、合意できなかったこと。第2は、GMが提案した「補償」について合意できなかったことである。ルノー・日産がGMに多額の出資をした場合、GMが他企業と提携する機会を逸することが考えられる。そのときGMはどんな補償が求めうるかを提案してきた。それに対して、ルノー・日産が「補償という考え方は、成功するアライアンスの精神に反する」という考え方をとったため、合意に至らなかった。
ここで問題となるのは、ルノー・日産の出資比率である。一説には、ルノーが10%、日産が10%をGMに出資すると言われていた。これは、6月15日、日産アメリカ本社でルノー・日産のカルロス・ゴーン社長が「提携を固める証として」いった仮提案の比率と言われる。となれば、GMの筆頭株主はルノー・日産で計20%ということになり、ルノー・日産の関連会社になる。
GMは最近10年間、世界の各社と資本提携を組んできた(関連記事)。そのほとんどは出資する側で、出資を受ける側ではなかった。
今回、もしルノー・日産が大株主になっていたら、当面、巨額の資金を調達できるメリットはある。ただし、soft alliance(柔軟な提携関係)を経営戦略の柱の一つとするGMにとって、今後の提携関係づくりに不都合な事態が十分起こりうる。それを懸念したとも考えられる。
3つの不自然な条件
それにしても、今回の提携交渉は、不自然な条件が重なりすぎていた。
第1に、動機が不純であった。この提携話を思いついた張本人は、GMの大株主(持株比率9.9%)である投資会社・トラシンダのカーク・カーコリアン会長であった。彼は全米高額所得番付19位。GMを信じて株式を購入したが、経営はいっこうに改善されず、意図に反して株価も高値をつけない。
しびれを切らした彼は、一計を案じた。GMの経営に刺激を与えるには、日産ターンアラウンド(再建)で世界に勇名を馳せたカルロス・ゴーン社長を招くしかないと、信じた。
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