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財界保守本流・王子製紙の敵対的買収がもたらした教訓

2006年9月5日

(松崎 隆司=フリーライター)

国内最大手の製紙会社・王子製紙が北越製紙に対して仕掛けた敵対的TOB(株式公開買い付け)は、不成立で決着した。

王子製紙の篠田和久社長は8月29日の記者会見で、「友好的な買収と敵対的な買収を織り交ぜた折衷の手法に矛盾があった」と敗因を分析。「いきなりTOBを掛けた方がよかったという声がある」として、敵対的TOBの姿勢を徹底させる必要性があったと振り返った。

「折衷の手法」とは、王子製紙が、北越製紙と交渉し妥協策を探るいっぽうで、敵対的TOBを仕掛けたことを指す。敵対的なTOBとは、被買収企業の経営者の意思に反して、市場において株式の公開買い付けを行う行為だ。

敵対的なTOBが活発になっている。これまでのプレーヤーはベンチャー企業が多かったが、財界の保守本流である王子製紙までが敵対的TOBに動き出した。敵対的なTOBは、今後、日本でも本格化するのだろうか。

国際競争を生き残るため、北越製紙との経営統合を選択

王子製紙が北越製紙に対して、非公式に経営統合を申し入れたのは今年2月のこと。理由は、製紙ビジネスの将来に大きな危機感を抱いていたからだ。製紙メーカーの競争は、国内での闘いからすでに国際競争へ移行している。最新設備を保有する海外メーカーとの競争が激化し、国内メーカーは構造的なコストダウンと最新鋭機種の導入を同時に求められるようになった。つまり、国際競争に勝ち抜くためには、経営統合などによる企業規模の拡大を図る必要がある。

「すでに欧米の大手の紙・パルプメーカー、東アジアの紙・パルプ新興企業などが現地に大型新鋭設備を設置して効率の高い生産を行っており、日本市場を魅力あるものと捉えていることから、輸入紙の脅威を感じざるを得ません」(王子製紙のニュースリリース

加えて、原油価格の高騰で原材料コストが跳ね上がった。製紙業界は、大幅な財務体質の改善を迫られていた。

こうした経営環境に直面する王子製紙が考えたのは、独自に設備投資して大型新鋭設備をそろえる、北越製紙と経営統合する、という2つの選択肢だった。そして王子製紙が最初に選んだのが北越製紙との経営統合だった。

next: なぜ王子製紙は北越製紙との経営統合を選択したのか…

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