2006年上半期のビール系飲料 首位はキリン、追い上げ図るアサヒ
(永井 隆=ジャーナリスト)
ビール商戦に波乱が起きている。
2006年上半期(1〜6月)のビール系飲料(ビール、発泡酒、第3のビール)の出荷量(課税ベース)で、キリンビールがアサヒビールを追い抜いたのだ。上半期の出荷量でキリンが首位に立ったのは、5年ぶりである。シェアはキリンが37.6%(前年同期は34.4%)、アサヒは37.3%(同39.5%)で0.3%差だった。
ビール系飲料全体の出荷量は前年同期比2.1%増の2億3065万5000箱(1箱は大瓶20本=12.66リットル)。上半期の出荷量がプラスとなったのも5年ぶりだった。
アサヒが首位に固執すればキリンに有利
キリンの三宅占二常務執行役員(国内酒類カンパニー社長)は「年間でも首位を取りたい。ただし、アサヒを見た戦い方はしない。大切なのは消費者だから」と冷静に話す。つまり、首位奪取を目的とした無茶な営業はしないという意味だ。
実はキリン社内では「なぜ、アサヒは上半期の首位を取りに来なかったのか。むしろ、積み上げてくれた方が、下期にキリンは戦いやすかった」という声が上がっている。
0.3%というシェアの差は、数量に置き換えると約83万箱。アサヒは上半期に8596万箱を出荷している。その気になれば、6月末に強引に出荷して量を積み上げることで、追いつける範囲だった。
キリンがこう考えたのは、5年前の痛い経験があるからだ。2001年上半期、キリンはわずか0.1%という“首の皮一枚”の差でアサヒをかわし、首位を守ったことがある。6月に、流通に対して“押し込み営業”を展開し、ようやく守った首位だった。「アサヒに追い上げられた90年代後半から、リベート(販売奨励金)を使い月末になると、卸に商品を押し込んでいた。特に、2001年の6月はすごかった」(キリンの中堅営業マン)。
しかし、この勲章は高くついた。流通在庫が膨らんでしまったために、キリンは下半期に苦戦。2001年の年間では、アサヒが首位に立ち、48年ぶりにリーディングカンパニーの交代劇が起こった。
その後、アサヒは、毎年じわじわとキリンを引き離した。2004年の年間シェアは、アサヒ39.6%に対しキリン34.4%と5.2%差にまで広がった(ちなみに、ビール系市場の年間シェア1%は、大瓶で約1億本に相当する)。
かつてのキリンと同じように、アサヒが今年の上半期に首位を取りに来たなら、キリンとしては「下半期の戦いが、優位に進められたはずだった」(キリン幹部)。いっぽうアサヒの対応は冷静だ。「当社は適正な取引を重視している。シェアはあくまで結果にすぎない」(アサヒ幹部)と話す。
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