上場企業に甘い! 日本の監査制度の実態
(松崎 隆司=フリーライター)
行政が重い腰を上げた。
監査法人を監視する公認会計士・監査審査会は6月30日、あずさ、新日本、中央青山、トーマツの4大監査法人の内部管理体制に不備があるとして、改善命令を出すよう金融庁に勧告した。
会計士と企業との馴れ合いを防ぐ体制に、大きな問題があると判断したからだ。
同審査会は国家行政組織法8条に基づいて設置された独立行政法人。日本公認会計士協会に属す会計士の監査が適正に行なわれているかどうかを検査するため、2004年4月に発足した。粉飾決算を見逃した事例などを見つけた場合は、金融庁に勧告することができる。上場企業の8割は4大監査法人が会計監査を行なっていることから、今回、調査を実施した。
表面化し始めた監査法人のずさんな監査
監査の不備はバブル崩壊以降、上場企業のスキャンダルとともに表面化し始めた。だが、一過性の問題として放置されてきた。
例えば朝日監査法人は1996年6月、乱脈融資で問題となった住宅金融専門会社、日本住宅金融による粉飾決算問題で、三興監査法人とともに提訴された。提訴したのは、大阪の市民団体「株主オブズマン」の公募に応じた日住金の株主29人。この件は2002年6月、朝日監査法人が総額2000万円の和解金を支払うことで和解することになった。
瑞穂監査法人は2002年8月、フットワークエクスプレスの虚偽の決算書を承認したとして、監査を担当した会計士が大阪地検特捜部に逮捕された。同監査法人はその後、金融庁から業務停止1年の処分を受けている。
逮捕された会計士は、1997年から3年分の有価証券報告書について、「総額約424億円の架空の収益を計上していた」と同社から知らされていたにもかかわらず、決算書を承認し、近畿財務局に提出していた。
新日本監査法人は、その前身であるセンチュリー監査法人の時代から、国有化された日本債券信用銀行や日本長期信用銀行の監査をしていた。両行とも、“飛ばし”などの手法を使って不良債権を隠蔽。決算を粉飾していた。センチュリー監査法人は、粉飾の事実を知りつつ、決算書を承認していた。このため日債銀の件では、2000年に、株主によって提訴されている。長銀の件でも2001年4月、整理回収機構(RCC)から提訴された(注:新日本監査法人は、大田昭和監査法人とセンチュリー監査法人が2000年4月に合併して誕生。合併直後の名称は監査法人太田昭和センチュリー。2001年7月に、新日本監査法人と改称した。RCCに提訴されたときは、監査法人太田昭和センチュリー)。
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