土井飛行士のシャトル搭乗決定で見えた宇宙ステーション計画の陰り(後編)
(松浦 晋也=ノンフィクション・ライター)
<前編はこちら>
ISS建設には、スペースシャトルが安定して運航することが必須条件となる。しかしブッシュ米大統領は2004年1月に、2010年にスペースシャトルを退役させる方針を打ち出した。
いくら頑張っても先がないという状況が整備現場の士気に影響しているようだ。昨年から今年にかけて、シャトル整備中のミスが相次いでいる。しかも、スペースシャトル「コロンビア」空中分解事故の原因となった、外部タンク断熱材の剥離は解決していない。
次のスペースシャトル打ち上げ「STS-121」は、断熱材剥離と整備現場の士気低下の不安を抱えたまま実施されることになる。この状況で、シャトルの定時運行を安全に行うことができるかどうかは不透明だ。危ない賭けといってもよいだろう。
昨年以来トラブルが続いている
まず、昨年7月、「コロンビア」事故以降初のフライトとなったシャトル「ディスカバリー」(フライト・ナンバーはSTS-114)の飛行、及びその後のトラブルをまとめよう。
まず、打ち上げ前の7月12日に、発射台に付属する整備塔の扉を開放する直前にトラブルが起きた。シャトルの背中に2つ並んでいる天窓のうちの左舷側の窓のプラスチック製保護カバーが落下、左舷側OMSエンジンフェアリングの前面の耐熱タイルに傷を付けた。
傷そのものは、補修で対応可能な程度だったが、これによって整備塔扉の開放は3時間遅れた。
翌13日に宇宙飛行士が登場してカウントダウンが行われたが、液体水素タンク内に4系統設置してある、液体水素の枯渇を検知するセンサーのうち1系統が正常な出力を返さなかったため、この日の打ち上げは中止となった。
米航空宇宙局(NASA)は、センサー故障の原因を調べたが解明できなかった。ここでNASAは安全基準の緩和を行った。4系統正常でなければ打ち上げを実施しないとしていたものを、4系統中3系統が正しければ打ち上げることにしたのだ。
next: 結局、「ディスカバリー」は7月26日に打ち上げられ…
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