外科手術は成功したものの、内臓疾患が続くダイエー
(日本総合研究所 主席研究員 小屋 知幸)
ダイエーの新体制発足から約1年が経過し、最初の決算が発表された。表面上の業績は順調である。売上高1兆6751億円、経常利益243億円は、ほぼ当初の目標通りの着地となった。しかしながら、財務の実態は楽観を許す状況ではない。
利益が目標に達したのは、主として金融部門の業績が好調だったことによる。連結子会社のOMCカードが356億円の経常利益を確保した。孝行息子に助けられた感がある。肝心の小売事業は41億円の営業赤字だ。
財務体質も相変わらず脆弱だ。今回の再建スキームにより約4000億円の債務免除を受けたものの、有利子負債残高は8000億円を超えている。2006年2月の営業キャッシュフローは120億円にとどまっており、これでは最低限必要な設備投資も賄えない。もちろん、債務返済に回せる資金はない。
ダイエーは、いわば難手術を終えて、集中治療室から一般病棟に移った段階にある。小売業の基礎体力を示す既存店売上高は、2005年度通期でマイナス5%となっており、依然として深刻な状況だ。外科手術は成功したものの内臓疾患の悪化が続いており、これが継続すれば、再び集中治療室に戻らざるを得ない。
20年の時を巻き戻した
ダイエーの今期(2007年2月期)売上高は、約1兆3000億円となる見通し。この水準は、同社の20年前の売上高に相当する。当時のGMS(総合スーパー)業界は、大きな転換点に位置していた。高度成長期に形成された大衆市場が解体に向かつつあった。「大量仕入れ、大量販売」に代表されるGMSのビジネスモデルが、有効性を失い始めた。GMS業界各社は量販型GMSを脱し、新たなビジネスモデルの構築を迫られていた。

資料:有価証券報告書、決算短信より作成。2006年度は予想値
そのような状況にもかかわらず、ダイエーはGMSのさらなる巨大化に突き進んだ。またホテル・レジャー・野球など、本業とのシナジーが乏しい多角化事業への巨額投資も行った。その結果、財務の破綻に至ったのである。
産業再生機構の指揮の下、ダイエーが実施したリストラクチャリングは、20年の時を巻き戻し、この間の誤った経営を「ご破算」にするものであった。多角化した事業を売却し、GMSの過大な売り場面積の削減を進めた。その結果、ダイエーはほぼ20年前の姿に戻ったのである。
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