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クアドラプルプレーを目指す米AT&T(4)〜新たな競争の始まり

2006年3月23日

(新保 豊=日本総合研究所 研究事業本部 主席研究員、通信メディア・ハイテク戦略クラスター長)

米国の2強時代の幕開けは、新たな競争の始まりでもある。そもそも、新・新AT&TとVerizonは、なぜ巨大化に突き進むのか。それは、1)MSOとの本格的な競争に備えるためだ。次に、2)GoogleやMicrosoftのような巨大なプロバイダーに対して、優先接続サービスの料金値上げをしたいからだ。

まず、MSOへの対抗について。

コムキャストやタイムワーナーのような巨大MSOは、RHCにとって脅威となっている。読書はここでお気づきであろう。2強のはずだったのに、あれ4強なの?と。そのとおり。通信市場は、コンバージェンスの方向をまっしぐらに進んでいる。トリプルプレーやクオドラプルプレーなどにより、消費者が享受できる価値は、狭義の通信サービス(音声電話)からビデオ通信を含む広義の通信に移行しつつある。しかし、巨大な竜はまだ狭義の通信サービスにとどまっている。

コンバージェンス時代には、巨大化が、竜が生き残るためのすべになる。なぜか。外部企業が提供するサービスをレイヤー別に集め、それらを組み合わせてコンバージェンスされたパッケージをつくるアウトソーシングよりも、内部のサービスを組み合わせた方が効率なパッケージをつくることができるからだ。

内部でサービスをつくる垂直統合は駄目だという見方がある。しかし、これは巨大な内部組織で事を成すにあたって、社内調整コストが無視できなくなるときに限られる。外部企業と協力してパッケージをつくる場合は、その外部パートナー企業の裏切りがあったり、信頼を勝ち得るまでの間、パートナー企業同士の調整に多大なコストが発生したりし、必ずしも効率的でない。「連結の経済性」()が発揮できなければ、アウトソーシングは意味がない。

:複数の主体が連結し、あるいは組織と組織が連結して業際化することによって生まれる経済性を、「規模の経済」や「範囲の経済」と区別してと名付けられた【宮澤健一『制度と情報の経済学』(1988年、有斐閣)】。

next: GoogleやMicrosoftをけん制…

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