クアドラプルプレーを目指す〜米AT&Tの米BellSouth買収(1)
(新保 豊=日本総合研究所 研究事業本部 主席研究員、通信メディア・ハイテク戦略クラスター長)
2006年3月6日、米通信大手のAT&Tが、地域通信3位のBellSouthを670億ドル(8兆円弱)で買収すると発表した。ソフトバンクによるボーダフォン日本法人買収の動きとも重なる。日米で大型買収の動きが進んでいる。米国における大型買収は、わが国の情報通信産業の行方に、どのような示唆を与えるのだろうか。解説と展望を示したい。
2強時代の到来
米国では、大型のM&Aが相次いでいる。2004年12月、米通信第2位のSBCコミュニケーションズがAT&Tを統合し、新生AT&Tが誕生した。米国の通信史において常に中心的存在にあったAT&Tは、このときは既に名ばかりの存在になっており、テキサス州をベースにするSBCの軍門に下ったのである。その後、2006年1月、ニューヨーク州に本社がある通信第1位のVerizon Communicationsは、長距離通信大手MCI(旧ワールドコム)の取得を完了した。
筆者は、オースティンにあるSBCも、マンハッタンにあるVerizonも訪れたことがある。2004年末には、NGN(次世代通信網)の件で両社の経営幹部と面談した。この時は、今回の新生AT&TによるBellSouthの買収劇を含め、ここまで市場の再編が進むとは予想していなかった。
2005年11月、FMC(Fixed Mobile Convergence:固定網と移動網の統合)や通信と放送の融合など、「コンバージェンス」をテーマとするカンファレンスが、ベルギーで開催された。そこで筆者は、VerizonやSBCの幹部らと3日間にわたって接する機会があった。しかし、今回の買収劇の具体的な話などは全く出ていなかったように思う。
この買収が成功すれば新・新AT&Tの誕生だ。ライバルのVerizonと並んで、米通信市場は2強時代に入る。補足しておくと、広大な中西部地域にはQwest Communications Internationalが陣取っている。しかし同社は、不正会計問題の影響もあり、業績不振状態が続いている。近くVerizonがQwest買収に出るとの観測もある。
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