検証:GMクライシス(4)〜スズキ株を売却したGMの舞台裏を読む
(吉田 信美=自動車経営開発研究所 所長)
(前回記事はこちら)
1月26日、GMが2005年の決算を発表した。結果は、最終損失85.54億ドル(約1兆円)という大赤字だった。いかに巨額か、過去6年の推移を見てみる(第1表)。これは、まさしく創業以来の巨大な赤字なのである。

GMはその前日、スズキに申し入れをしていた。「御社の株式を引きとっていただきたい」と。GMが保有する9110万のスズキ株をスズキに売却。円ベースで2268億円余の現金を手にするという苦肉の策である。
3月6日、スズキは「業務提携は今後も積極的に進めていくという両社合意のもと」で、25年続いたGM出資比率20.4%を3.0%に下げると発表した。
だれがスズキ株売却を決断したのか
注目すべきは、「この決断がだれによってなされたのか」である。もちろん、GM会長兼CEO のR. ワゴナー氏であることは言うまでもない。ただし、スズキが持つ商品戦略上の意味(後述)を考えれば、いかに大赤字を出したとはいえ、彼がこの会社の株式を手放すことはない。という観点から見ると、もうひとりの重要な人物が浮かび上がってくる。J. ヨーク氏である。同氏は、ある大株主の支援で、2月6日、GMの取締役会のメンバーに推選された。
新任取締役のヨーク氏は、過去に30年間、GM、フォード、クライスラーで働いていた。うち14年間は、クライスラーで役員を務めた。1990年から93年にかけては同社の副社長兼CFO(財務担当)、最後の2年間はディレクターにも就任した。
今回GMに来る前は、億万長者の投資家 K.カーコリアン氏(トラシンダ最高責任者)のコンサルタントをやっていた。「ある大株主」とは、そのカーコリアン氏のことである。彼はいま、トラシンダを介してGMの株式9.9%を所有している。その威力を行使して、ヨーク氏をGMに送り込んだ。
next: GM株を手玉に取ったカーコリアン氏…
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