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JAL、内紛と困難な経営改革で視界ゼロ

2006年3月13日

(松崎 隆司=フリーライター)

3月2日、日本航空は2010年度を最終年度とする新しい中期経営計画を発表した。

そして、胸を張ってこう語る。「10月に事業会社の統合を完了する2006年度は、JALグループが『安全』『お客さま視点』を最も大切にする企業として生まれ変わる再生への初年度となります。日々安全運航を重ね、お客さまに『安心』『快適』にご利用いただくことで、全てのステークホルダーからの信頼回復に向け、総力を結集してまいります」(同社広報)

果たして日本航空の再建は可能なのか。

有利子負債の返済に17年かかる

日本航空が置かれている状況は厳しい。2004年以降、機体の修理ミスや部品の脱落事故が相次ぎ発生。2005年3月、国土交通省から事業改善命令を受けた。これにより、日本航空の信用は失墜した。

それだけではない。日本航空の経営はすでに末期状態にあると言っていい。有利子負債は1兆9760億円。営業利益は2006年3月期の見通しで340億円の赤字、当期利益も470億円の赤字となる見通しだ。有利子負債の返済には17年かかるという。普通の上場企業なら、産業再生機構行きとなってしまうところである。

それでもだれも口出ししてこなかったのは、日本航空が事実上のナショナル・フラッグ・キャリアだからだ。日本航空がなくなれば、日本の空の足が一気に不便なものになってしまう。全日空による独占の問題も生れる。

危機的状況に陥った三つの原因

日本航空がこれほどの危機的状況に陥った原因は、大きく言って三つある。第1は、外部からのチェックが事実上入らない状態にあったことだ。「日本航空は航空行政と深くかかわっている。財務内容がどうであれ、金融機関は口出しし難い」(メガバンク幹部)

政府も距離を置いている。監督官庁である国土交通省は「日本航空は民間企業。だから経営に介入はできない」(国土交通省幹部)と言う。最も融資額の多い政府系金融機関である日本政策投資銀行も、経営面をチェックするメインバンクのような機能を持っていないことを理由に、静観している。

第2は、労働組合が社内に九つもあり、それぞれの利害が錯綜していること。第3は、経営陣が派閥をつくり、権力闘争を展開してきたことだ。これらの理由のために、経営改革が進まず、過剰債務の状態が長い間続いてきた。

next: 企業改革方針と中期経営計画を発表…

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