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GMが純米国企業でなくなる日は来るか

2006年1月25日

(熊山 准=フリーライター)

世界最大の自動車メーカー、米ゼネラル・モーターズ(以下GM)が経営危機に瀕している。場合によっては、この米国を象徴する巨大自動車メーカーが潰れてしまうかもしれない。

4四半期連続の赤字を計上

かねてより指摘のあった同社の経営不安は、2005年1〜3月期の決算で11億ドルの赤字を計上したのを契機に、どんどん現実味を増していった。4〜6月期には2.8億ドル、7〜9月期には16億ドルの赤字を計上。とうとう、2004年10〜12月期から数えて4四半期連続の赤字を記録した。

こうした動きを受けてムーディーズとS&Pの2大格付機関は、GM長期債を「投資不適格(ジャンク)」に格下げした。ムーディーズは2005年4月に、投資不適格級である「Baa2」から1段階下の「Baa3」へ。S&Pも5月に、「BBB-」から2段階引き下げて「BB」と評価した。

10月には、かつてはGMの子会社で、GM向けの取引が売り上げの5割を占める米部品メーカーのデルファイが倒産に陥った。S&Pはこれを重視し、GMの長期債格付けを「BB-」へとさらに引き下げた。

生産拠点の再編で再起を図る

GMも手をこまぬいているわけではない。2005年6月、大リストラプランを打ち出した。北米の従業員を3年間で2万5000人カットし、その間にカナダや南米、中国などの工場に生産を振り分ける。生産コストの低減と、好調な海外市場への生産インフラの移転が狙いだ。このプランが順調に進めば、北米市場において、北米産の日本車と海外産の米国車がしのぎを削るという、不思議な構図が生まれるかもしれない。

11月には、さらなるリストラ策を発表した。北米にある九つの組立工場と、三つのサービス・配送センターの閉鎖だ。2008年までの人員削減規模も、当初の2万5000人から3万人に増やした。これにより、年間70億ドルのコスト削減が達成できるという。また、同社のリック・ワゴナー会長は、自動車ローンを取り扱う金融部門のGMAC(米ゼネラル・モーターズ・アクセプタンス・コーポレーション)の売却も示唆した。

海外事業は好調だが…

悪いニュースばかりではない。

不振の北米市場とは対照的に、中国、タイ、インドを中心とするアジア太平洋地域では、過去最高の106万5000台(年間)の販売を記録した。同じく中南米・アフリカ・中近東エリアでも過去最高となる88万台を販売。ヨーロッパ地域での販売も198万台と堅調だった。その結果、2005年の全世界における販売台数は917万台に達し、「世界最大」の座を死守することができた。年間販売台数が900万台を超えたのは、27年ぶりのことである。

GMが、米国内の「産業の空洞化」を招きかねない海外への生産シフトを企画した背景には、こうした海外市場での活況もある。

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