耐震強度偽装で加速する中堅ディベロッパー再編の行方
(松崎 隆司=経済ジャーナリスト)
自民党の武部勤幹事長が「悪者探しに終始すると、マンション業界はつぶれる」と発言し、周囲から顰蹙(ひんしゅく)を買った。しかし、この武部発言が現実味を帯びてきた。
耐震強度偽装疑惑は、姉歯設計事務所とヒューザー、木村建設がかかわるマンションルートから、総合経営研究所、木村建設、平成設計、姉歯設計事務所が関係するホテルルートにまで拡大。さらに大きな広がりを見せ始めている。
既に姉歯設計事務所や平成設計以外の建築事務所の名前も取りざたされるようになった。ゼネコンとディベロッパーでは、大手にも偽装疑惑の対象が広がっている。
国土交通省の発表を契機に広がる波紋
問題の発端となったのは、11月17日の国土交通省の発表。東京、千葉、神奈川のマンション20棟とホテル1棟の計21棟で、姉歯設計事務所が偽装した構造計算書が建築確認の際に使われていたという。
ここで浮上したのは、マンションの施主ではヒューザー(7棟)、シノケン(4棟)、サン中央ホーム(2棟)の3社。ホテルの施主では京王電鉄(1棟)だった。ヒューザーは森田設計事務所から姉歯設計事務所を紹介されたという。シノケンは、設計・施工を委託した木村建設が構造計算を姉歯建築事務所に委託。サン中央ホームは、設計全般を姉歯設計事務所に委託していたことが明らかになった。
その後、波紋は広がっていった。京王電鉄が姉歯設計事務所に設計を依頼した他の物件を検査したところ、五反田のホテルでも偽装が発見された。姉歯設計事務所が1990年以降に担当した案件210件すべてに関心が集まり、調査が行われた。その結果、12月15日19時までに地方公共団体から報告があったもののうち、77件で改ざんがあったことが明らかになっている。
姉歯元建築士は、1998年ごろから偽装を始めたという。最初の物件は「グランドステージ池上」(東京・大田区)。きっかけは木村建設の篠塚明・元東京支店長の指示であったと、国会の証人喚問で明らかにした。
さらに、木村建設が、姉歯元建築士以外に構造設計を依頼し、鉄筋の少ないホテルやマンションを建築していたことが発覚。木村建設の背後には「工期短縮や海外資材の購入でコストダウンが図れる」と主張してきた経営コンサルタント会社、総合経営研究所の指導があったのではないかという疑惑も浮上している。
総合研究所の指導先企業は300社。耐震強度の偽装は、まだまだ広がる余地がある。
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