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ネットとテレビの融合(3)〜デジタルゆえに懸念される公衆送信権の侵害

2005年12月8日

(渋井 哲也=フリーライター)

インターネットとテレビの融合をさらに進めるためには、コンテンツにかかわる権利関係をクリアにすることも課題です。

著作権法は、「著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送」に関して、著作権を認め保護しています。「著作物」には、文章はもちろん、映像や音楽などのコンテンツも含まれます。

ネット配信は基本的には、テレビ番組をビデオ化することと同じ枠組みと考えられています。2005年11月21日に開かれた日本音楽著作権協会(JASRAC)のシンポジウムで、文化庁著作権課の甲野正道課長は、「放送番組のビデオ化とネット配信では、著作権法上の制約は変わらない」、「ビデオ化が進んでいるのはビジネスが成功しているから」と述べています。

ビデオ化と同様、ネット配信する場合に問題となるものに、複製権があります。「複製」とは、いわゆるコピーや録画のこと。著作権の権利者は、著作物を複製されない権利を持っています。パソコンの機能が進歩し、テレビ番組はもちろん、DVDに格納された映画なども複製が可能になりました。インターネットを通じて配信された番組も、容易に複製できます。

複製権は、複製したものを私的に利用する限り、侵害したことになりません。ネット配信された番組も、私的使用に限られるならば、これまで通り問題にはなりません。しかし、インターネットの配信の場合、技術の進化によって、複製はそれだけに留まりません。

ファイル共有ソフトの利用は公衆送信権を侵害

著作権法30条の第1項は、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合」は、公衆送信権を侵害することになるとしています。この点が心配されるのです。

インターネットに接続されているパソコンや携帯電話、DVDプレーヤー、ゲーム機などで受信し録画された「複製物」は、ファイル共有ソフトのP2Pによって、複数のユーザーに容易に配信されます。

P2PとはPeer to Peer(ピア・ツー・ピア)のこと。不特定多数の機器が、ある情報を直接やりとりする仕組みです。「やりとり可能なファイルをどの機器が持っているか」を中央のデータベースサーバーが管理するタイプと、機器同士が直接つながり、やりとり可能なファイルの有無をバケツリレー式で確認するタイプの二つがあります。ファイル共有ソフトのひとつ「Winny」の開発者が著作権侵害ほう助違反の容疑で逮捕されたのは記憶に新しいでしょう。IP電話の「skype」もP2Pのひとつです。

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