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ソニーBMGの“トロイの木馬”〜利益、知的財産、個人プライバシーの綱引き

2005年11月22日

(クリフ・ミラー=マウンテンビューデータ社長)

ソニーと私との出会いは、私が日本の中学に留学し、ソニーのラジオを買ったときにさかのぼる。その後、アメリカに持って帰って、25年以上も問題なく使った。ラジオを皮切りに、テレビ、ウォークマン、ムービーカメラ、パソコンなど、ソニー製品を数多く買っている。私は「ソニー」ブランドに対して、デザインと品質の両面において天下第1というイメージを持っている。私と同じ考え方を持っている米国人は、他にも多いと思う。

だから今月、ソニーのDRM(デジタルライツ・マネジメント、デジタル化された音楽や映像コンテンツの違法コピーを防止する機能)ソフトに関する大騒ぎが起こったとき、心の中では「きっと、ブログなどが問題を大げさに膨らましているのだろう」と思っていた(関連情報)。しかし、事件の記事が増えるにつれ、「ひょっとしたらこれは、ソニー・バッシングではないのか?」、「何でこんなにソニー・バッシングが激しいだろうか?」、そして「状況をもう少し調べてみよう」と考えが変わった。

ソニーのDMRソフトに関する騒動とは、音楽CDを製造・販売するソニーのグループ会社、ソニーBMGが販売する音楽CDの中に、「XCP」と呼ぶソフトが組み込まれており、これをパソコンにインストールしたユーザーがウイルスなどの危険にさらされたというものだ。

悪さをするソフトを呼び込むXCP

10月31日、ハロウィーンの日。有名なプログラマーでコンピュータに関する著作もあるマーク・ルシノウィッチ氏が、自身のパソコンに「トロイの木馬」型のウイルスソフトを見つけた。彼はブログに、トロイの木馬がソニーBMG製の音楽CDからパソコンに侵入したこと、そして彼がどうやってその不具合を修正したのか、を細かく記述した(関連情報)

ソニーBMGが使っているDRMソフトは、英First4Internet 社が開発した「XCP」というソフトである。XCPは「ルートキット」という技術を使って、OSの深いところに閉じこもる。ユーザーやウイルス防止のソフトウエアは、これをなかなか発見できないのが現状だ。そして、2秒おきに数回システムをスキャンして、そのパソコンについての情報を取得し、メーカーに送る。

XCPは「トロイの木馬」の一種なので、システムにバックドア(裏口)を開ける。悪さをするソフトは、このバックドアを通じて、システムに簡単に侵入することができる。ユーザーがソニーに反感を持つ理由の一つは、パソコンでCDを実行と、承諾なしでXCPがインストールされることだ。しかもアンインストールのソフトは提供していなかった。

ルシノウィッチ氏はXCPをアンインストールするために、専門知識を駆使しつつ、複雑な手順を実行しなければならなかった。下手をすると、XCPを削除する過程で、パソコンのCD-ROMドライブが使えなくなり、システムが起動不能になることもあるという。

next: 後手に回ったソニーの対応…

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