人事とNTT法による包囲網を破ったNTTの再々編
(松崎 隆司=経済ジャーナリスト)
NTTは11月9日、ブロードバンドに対応した次世代ネットワークの構築と、NTTグループの抜本的な再編を柱とした中期経営戦略を発表した。
次世代ネットワークの構築はNTT東西が進める。2010年までに3000万人の利用者を獲得する計画だ。IP固定電話事業もNTT東西に集約し、固定電話事業を両社に一本化する。一方、NTTコミュニケーションズはネット接続事業を担当。ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントも統合する。
NTTの市場独占に危機感を抱く競合各社
NTT持株会社の和田紀夫社長は、今回の中期経営戦略を策定した理由を「技術革新やサービス競争の激化に対応するためは、各事業会社の役割分担を見直すことが不可欠だ」と語った。
これに対して同業他社は強い危機感を抱いている。NTTグループによる通信市場独占が再来する可能性があるからだ。通信業界関係者は「今回の中期経営戦略は、NTTグループによる市場独占を規制するNTT法逃れの改革ではないか」と指摘する。
ライバルであるKDDIやソフトバンクの連結売上高は、10兆円を超えるNTTグループの半分以下で遠く及ばない。NTTのグループ経営が本格的に動き出すと、ライバル他社にはたまったものではない。
しかも、NTT東西は固定電話のシェアの98%を、NTTドコモは携帯電話のシェアの59%を握る。3社が連帯すれば、通信市場が事実上独占される可能性が非常に高くなるのである。
イー・アクセスの千本倖生会長兼CEOが「市場の8割〜9割を独占する巨大なネットワークができることになる。独占禁止法上の大きな問題だ」と警鐘を鳴らすのももっともなことだ。
分割による競争力低下に危機感を持つNTTグループ
NTTが民営化されたのは1985年4月1日。その後も10年以上にわたって市場を独占していたが、1999年7月、NTT持株会社、固定電話サービスを提供するNTT東西、国際電話と長距離通信(県境を越えるもの)を取り扱うNTTコミュニケーションズに分割された。
NTTを分割したのは、NTTによる独占を抑え、新規参入をうながすためだ。
ところが、米国の圧力に端を発する度重なる通信料金の引き下げなどで、NTTグループの業績は悪化。中でもNTT西日本の経営は厳しい状況に立たされた。
こうした中でNTTグループは、「米AT&Tは、再編に失敗し、再び統合した」という米国の通信事情を引き合いに出し、水面下で“統合”を進めてきた。しかし、同業他社の厳しい批判の中でNTT法による規制から逃れることはできず、その進み具合は満足のいくものではなかった。
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