ブロードバンドの焦点はファイバから携帯へ
(田邊 俊雅=nikkeibp.jp編集長)
11月9日にNTTグループが中期経営戦略を発表した。内容は、既に記事になっているので、そちら(nikkeibp.jpの記事へ)を読んでいただくとして、これをどうとらえるべきかについて書いておきたい。
総務省はNTTに甘い
まず、印象的だったのは、「総務省との間に緊張感が感じられない」ことであった。ADSLを中心としたブロードバンドの普及、携帯電話への3社の新規参入と各社への電波の割り当て、2006年秋に控える番号ポータビリティ(携帯電話の番号を変えずに事業者を変更できる)導入など、NTTにとって逆風となりうることがたくさん存在する。それをおもんぱかったのか、総務省側のスタンスがNTTに対して甘くなっているような気がしてならない。
ADSLでは、NTTの加入者線(電話局からユーザー宅までのメタル回線)を使って他の事業者がADSLサービスを提供できるようにしたことが、新規参入を容易にし、爆発的な普及につながった。ソフトバンクやイー・アクセスは新規参入組の代表的な存在である。
確かに自社設備の一部を他の事業者に使わせることは、NTTにとっては厳しいことだったと思う。しかし、こういった状況をつくったからこそ、接続や施設利用の際のインタフェースをはっきりさせることができたし、同じ手順で複数の事業者が参入できるようになった。結果として、サービスの普及が急速に進んだし、料金も低下した。
新規参入が進んだと言っても、全国のADSLのシェアを見ると、NTT東西を合計した数字が4割弱でトップなのである。もちろん、そんな状況の中で競争に負けて市場から消えた事業者も存在した。
ADSLが立ち上がり始めたころ、「まだまだ競争が十分ではないのではないか?」という趣旨の記事を書いたことがある。このとき、読者からのコメントに「NTT関連のビジネスで食っている人が10人に1人くらいはいる。NTTがダメになるようなことがあっては日本は困るのだ」というご指摘があった。
「このような状況がまだ続いており、総務省の姿勢が『しばらく、NTTには我慢してもらったんで、少しは大目に見ないと』という揺り戻しのフェーズに入っている」という見方はうがち過ぎだろうか。
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