カギを握る西川善文氏の動向
(松崎 隆司=経済ジャーナリスト)
楽天は10月13日、TBSに対して「世界に通用するメディアグループ設立のご提案」と題した企画書を提出するとともに、共同持株会社方式による経営統合を申し入れた。これに先立ち、TBSの株式15.46%を取得してもいる。都内で会見した楽天の三木谷浩史会長兼社長は「収益力の高い電子商取引に強みを持つ楽天と、テレビ・ラジオで影響力の強いTBSが力を合わせ、海外でも通用するメディア企業を目指す」と狙いを語っている。
楽天側は、提案書を提出するなど、友好的な形で統合交渉を進めているかのような体裁を取ってはいる。しかし、これは株式の買収をちらつかせた事実上の敵対的買収だ。なぜ楽天はここまで強引な経営統合を迫っているのだろうか。
楽天は9月29日、TBSの井上 弘 社長と接触し、事業提携の話を進めた。だが、楽天側は株式取得を主張し、結局、話はまとまらなかった。
敵対的買収を進める可能性が高い
このときすでに楽天は、水面下で、TBS株の買い占めを進めていた。楽天がTBS買収に動き出したのは8月ごろからだと言われている。
大量保有報告書によると、8月10日からほぼ毎日買い進み、9月11日と12日の2日間だけで1698万株を一気に集めた。楽天ストラテジックパートナーズが8.52%、楽天メディア・インベストメントが6.94%、合計で15.46%を取得した。資金は楽天が761億円、楽天証券が18億円、これに銀行から100億円を調達したことが明らかになっている。
楽天が現段階で20%以上の株式を取得していないのはTBSの企業防衛策が発動されることを警戒したためだろう。
TBSはすでに、日興プリンシパル・インベストメンツに最大800億円規模の新株予約権を発行。特定の買収者による保有率が20%を超えた場合には第三者機関「企業価値評価特別委員会」の決議を経て防衛策を発動すると定めている。楽天の取得比率は今のところ発動条件を満たしていない。
しかし楽天はすでに15.64%の株式を取得した以上、TBSが統合を呑まなければ、敵対的買収に進んでいく可能性が極めて高い。
なぜTBSなのか
なぜ楽天はTBSを買収のターゲットにしたのか。
IT企業は今、「金融」、「通信」、「コンテンツ」という三種の神器の買収を進めている。中でもゲームのキャラクター、音楽、プロ野球球団などを抱えるコンテンツホルダーを、こぞって買収しているのである。魅力的なコンテンツを押さえることが、今後の生き残りのカギだと言われているからだ。
USENは、音楽プロダクションのエイベックスや洋画を配給するギャガコミュニケーションズなどを次々と傘下に収めた。インデックスも、日活を買収したり、タカラトミーと合弁事業を展開したりしている。ソフトバンクはダイエーホークスを手中に収めた。
そうした中で最も魅力的なコンテンツホルダーがテレビ局である。しかしテレビ局に関しては、過去に、ソフトバンクがマードックと手を組みテレビ朝日の買収に乗り出したが、失敗している。敵対的買収に対するアレルギーがあるからだ。
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