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テレビ局との提携は楽天の必然 唐突な“結婚”は危機感の表れ

2005年10月21日

(船木 春仁=経済ジャーナリスト)

楽天によるTBSへの経営統合提案は、インターネット関連ビジネスが大きな節目を迎えていることを印象づけた。

もはや「早い者勝ち」の時代ではなくなった、ということだ。楽天市場という圧倒的な実績を誇る流通市場を運営する楽天でさえ、これまでと同様の成長を維持していくのは難しい。そうした危機感が、TBSへの統合提案にはにじみ出ている。

楽天とTBSの協力関係に“結婚”は不要

今回の「事件」で、わたしが最も奇異に感じたのは、楽天が、一挙に経営統合の提案に持ち込んだことだ。楽天がTBSに示した経営統合提案書には、「世界に通用するメディアグループ設立のご提案」とある。タイトルこそ勇ましいが、ネットの双方向性を利用した参加型の番組づくりとか、ブログなどを利用して視聴者の番組への関心を喚起するとか、視聴者の属性や商品購買履歴などのデータベースを広告に活用しようとか、ある意味でどれも当たり前で、たわいない。

楽天クラスの企業であれば、正面玄関から業務提携を申し入れれば、TBSも検討したであろう内容だ。これらを実現するために、経営統合という“結婚”が必要とはとても思えない。

買い集めた15%強の株式をバックに、一挙に結婚を迫るのは、日本興業銀行出身のエリートで財界長老からも「紳士」と言われてきた三木谷浩史会長兼社長らしくない強引さだ。時価総額の多さを頼みにM&Aを仕掛ける新興IT企業のバーバリアン的体質は、楽天および三木谷会長兼社長も例外ではなかったのだろうか。

インターネット関連ビジネスは二極分化しつつある

それはともかく、提案の背景を推測してみると、インターネット関連ビジネスが大きな節目を迎えようとしていることに気がつく。「総合ショッピングセンター化とブティック化の二極の流れが押し寄せている」と言ってもよいかもしれない。

ヤフーやMSNなど、いわゆるインターネット情報検索のポータルサイトは、勝ち組と負け組がはっきりとしてきた。その一方で、商品価格の比較サイトである価格.comや化粧品情報の@cosmeなど、専門情報を提供することで揺るぎない存在感を持つサイトが増えてきている。そのどちらともつかない“中堅サイト”は、成長モデルを描ききれないでいる。

ホームページへのアクセス分析サービスを提供するネットレイティングスの公表資料などを見ると、ポータルサイトでは、利用数、利用時間ともヤフーが図抜けている。家庭からインターネットにアクセスした人の84%がヤフーを訪ねている。これは2位のMSNの51%、3位のニフティの48%を大きく引き離す。また1人当たりの月間総利用時間でもヤフーは、MSNの6倍近い3時間07分を記録している(いずれも2005年3月調査)。

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