TF連合成功のカギは富士重工の積極姿勢
(吉田 信美=自動車経営開発研究所 所長)
トヨタ自動車と富士重工は10月5日、開発と生産の分野で業務提携。これを機に、2000年4月以来、米ゼネラル・モーターズ(GM)が所有していた富士重工株式約20%は放出され、両社の資本関係はまったくなくなった。トヨタはこのうち8.7%を取得、筆頭株主となった。
このTF(トヨタ・富士重工)連合の狙いは何か。目先の狙いと長期の狙いがある。
富士重工の短期的狙いは、トヨタのハイブリッド技術と中国拠点
富士重工の経営陣は、1990年代後半から起きた世界再編の波(例えば1998年のダイムラー・ベンツとクライスラー、1999年のルノーと日産など)の中にあって、いずれ大手自動車企業と連携してやっていく道を考え始めていた。その対象として、GMを選んだ。ところが、片や世界に冠たる巨大企業、こなたユニークな小企業ということで、考えること、やることが、どうもしっくりいかなかった。
その間に、富士重工では、日本の自動車会社の中で決定的な後れを取った経営課題が二つ表面化してきた。
その一つが、ハイブリッド・システム(エンジンと電気モーターを併用する環境対応システム)技術とその量産化である。この技術はGMも遅れており、アメリカでもまだわずかな台数しか販売していなかった。
問題は、富士重工のエンジン型式(タテ置き水平対向型)とトヨタのハイブリッド・システムのマッチングである。富士重工と同じ型式を伝統的に使っているポルシェもまたハイブリッド・システムに関心を持っているようだから、水平対向とハイブリッドという組み合わせ自体に致命的な問題があるわけではないようだ。
もう一つは、中国への工場進出である。中国では、若者たちの間でスバル車に対する人気が高い。あのWRC(世界ラリー選手権)で大活躍しているのを知っているからである。
富士重工は、この人気に応えるため販売活動を行っているが、工場進出をするまでにはいっていない。巨額の資金が必要とされるからである。GMは、現地工場を持っているが、それに便乗する間柄ではまだなかった。
この二つの課題は、今後の世界自動車激戦を考えるとき、解決すべき緊急課題である。この両方を解決する緒口(いとぐち)にすることが、このTF連合の富士重工側の目先の狙いであった。
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