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そこで急成長を続けるための手段として目をつけたのが、地上波放送局を呑み込むことだ。広告収入に頼った民間放送局のビジネスモデルは転機を迎えている。消費者に浸透したそのブランド力と映像ソフトの制作能力は、新興のネット企業からすれば喉から手が出るほど欲しい宝だ。楽天は、地上波放送局のブランドと資産を活用することで、ネット市場で首位を行くヤフーを逆転できると考えたわけだ。

三木谷会長兼社長の判断は堀江氏のそれと五十歩百歩

実は楽天は、今年のライブドア・フジテレビジョン騒動のとき、窮地に立つフジテレビジョンに友好的に資本参加するチャンスを手にしていた。だが、楽天幹部の説得にもかかわらず、3分の1以上の出資比率と経営権への関与、つまり実質的なフジテレビの買収に三木谷会長兼社長自身がこだわり続けた。このため、フジテレビジョンの首を肯んじさせることができなかった。結果として、ソフトバンク・インベストメントの北尾吉孝社長の登場を許して、この好機を反故にしてしまったのだ。自らの判断ミスを悟った三木谷会長兼社長は、涙を流して悔しがったという。

千載一遇の好機を自らの判断ミスで逃してしまった三木谷会長兼社長にとって、買収できそうな有力な地上波放送局は、唯一、大株主を持たないまま株式公開を続けているTBSだけ。しかもTBSは買収に標的にされていることへの危機意識が薄かった。ライブドア・フジテレビ騒動を目の当たりにしたにもかかわらず、新株予約権発行の手段を整え、大株主の経営陣支持の確約を取り付けただけで、十分な防衛策を講じていなかったのだ。

「楽天が早くTBSを買収しなければ、ライバルにさらわれる」。自らの判断ミスを取り返そうとさらに焦った三木谷会長兼社長が、こう考えたとしても不思議ではない。

その意味では、三木谷会長兼社長の動機は、「うちの中身は実はカラッポ。株価は見せかけに過ぎない。今のうちに実態のあるものを取り込まないと将来やっていけない」とうそぶいてニッポン放送買収に突き進んだと言われるライブドアの堀江貴文社長のそれと、五十歩百歩と言ってよい。

「楽天・三木谷氏の胸のうち(2)」~ ネットとテレビのシナジーに経営統合は必要ないに続く

■織田 篤(おりた・あつし)氏のプロフィール
1965年生まれ。1989年に早稲田大学卒業後、某出版社へ入社。複数の雑誌の編集業 務を手がける傍ら、IT業界、メディア業界などを幅広く取材している。

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