トラブルが続くソユーズTMA
それでも、これまでシャトル引退によるアメリカの有人宇宙輸送システムの空白が大きく問題視されなかったのは、米ロ関係が安定しており、またロシア経済が疲弊していたことからアメリカは安価にソユーズ宇宙船を調達できたからだ。
ソユーズ宇宙船は、ISSの乗組員が緊急時に地球に帰還するための緊急脱出船を兼ねている。アメリカはISSの予算超過が原因で、独自の緊急脱出船開発をキャンセルしてしまっている。このためソユーズなくしてISSの運用はできない。ソユーズの軌道上での設計寿命は6カ月だ。現状の常時3人体制でISSを運用するためには、年2機のソユーズ打ち上げが不可欠である。今後常時6人体制に移行するならば、年4機のソユーズ宇宙船が必要になる。
しかし、ソユーズにも不安要素が存在する。
まずISSとの往復用に搭載機器を変更するなどした新型の「ソユーズTMA」宇宙船がいまひとつ不調でトラブルを出し続けていることだ。「ソユーズ」宇宙船は、1967年の初飛行以来、「ソユーズ」「ソユーズT」「ソユーズTM」と改良を加えられてきた。「ソユーズTMA」は、「同TM」に続く最新型のソユーズ宇宙船である。
ソユーズ宇宙船は、大気圏再突入時に、進行方向に対してカプセルを傾け、薄い高層大気から若干の浮き上がる力(揚力)を得る。このことにより再突入時に搭乗員にかかる加速度を4G(地表の重力の4倍)以下にまで軽減する。
なにかトラブルがあって、カプセルの軌道や姿勢を予定通りに制御できなくなると、カプセルの姿勢制御システムが緊急モードに切り替わり、まっすぐ大気に突っ込む弾道再突入を行う。弾道再突入でも乗組員が死ぬことはないが、最大8G以上の強烈な加速度に耐えなくてはならない。また着陸地点は予定地から400km以上ずれることになる。
ソユーズTMAは、2002年10月の運行開始以来、これまでに12機が打ち上げられている。うち11機が地上に帰還して任務を終了しており、現在最新の「ソユーズTMA-12」がISSにドッキングしている。
(全 6 ページ中 3 ページ目を表示)
あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください
この連載のバックナンバー バックナンバー一覧へ 画面先頭に戻る
- 気になる「アレスI」の振動問題 (2008/09/25)
- 表面化したスペースシャトル引退延期 (2008/09/18)
- 浮上するGXロケットの安全保障用途転用 (2008/09/05)
- 浮上するGXロケットの安全保障用途転用 意外に多い利点、民生と安全保障を分離 (2008/08/29)
- 遅れるシャトル運航、ISSはサドンデス状態に(2) (2008/02/18)

