表面化したスペースシャトル引退延期〜引くも進むも明るい見通しが立たない状況
アメリカ大統領選挙の候補が、マケイン(共和党)・オバマ(民主党)に絞られた8月以降、アメリカでは2010年に迫ったスペースシャトルの引退を延長し、2015年程度まで運用を続けるべきとする意見が、急速に表面化している。
その直接的原因は、グルジア・南オセチア問題で、アメリカとロシアの関係が急速に悪化したことだ。2010年にシャトルが引退すると、アメリカの次期有人宇宙船「オリオン」が運行を開始する2015年まで、国際宇宙ステーション(ISS)への人員輸送は、事実上ロシアの「ソユーズTMA」宇宙船のみが行うこととなる。米ロ関係が良好な間は、この依存は問題にならなかったが、グルジアを巡る対立が表面化した今、ロシアが拒否すればアメリカの宇宙飛行士がISSに行けなくなるのは問題ではないか、という意見が出てきた。
しかしその背景には、ロシアのソユーズ宇宙船を巡る問題もくすぶっている。ソユーズ宇宙船の最新型である「ソユーズTMA」は必ずしも順調というわけではなく、無視できない頻度でトラブルを出している。ISSへの人員輸送を1系統の輸送手段に依存することは、トラブル発生時に即ISS運用が停止することを意味する。また、ロシア経済の復興と共にソユーズの価格が大幅に上昇している。アメリカも2003年のシャトル「コロンビア」空中分解事故後の空白期間のように、ロシアからソユーズ宇宙機を安価に購入して使用するわけにはいかなくなっている。
その意味では、スペースシャトルの引退延期は、出るべくして出た議論と言える。
しかし、スペースシャトルは運行に莫大な経費がかかる。2010年以降も運用を続けるとなると、オリオン開発のための予算が圧迫されることになる。老朽化が進むシャトルの安全性確保も大きな問題だ。2004年にブッシュ大統領が、2010年のシャトル引退を決定してからすでに4年以上が経過し、一部の消耗部品はすでに生産を終了し始めている。それらの部品の製造ラインを再開するのは容易なことではない。
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