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ISSは政治的に完成とする可能性大

今後のISSについて、ありうる展開は4つだ。

まず、予定された12回の飛行を成功させ、現在のスケジュールを完遂することである。これは、シャトル運航に不慮のトラブルが起きればすぐに危うくなる。

二番目に、今後11回予定されているISS組み立て飛行のうちSTS-131とSTS-133をキャンセルし、絶対にこなさなくてはならない9回をなんとかクリアしてシャトルを引退させるやりかただ。軌道上にはすべてのモジュールが組み付けられたISSの姿を見ることができるようになるが、艤装品は後回し。その状態で「完成」ということにしてしまうわけである。、

この場合、キャンセルした2回の飛行で運ぶはずだった艤装品を、どうやってISSまで運ぶかが問題になる。いずれにせよ艤装品の打ち上げは大幅に遅れることになるだろう。

ブッシュ米大統領は2016年にISSの運用を終えるという方針を打ち出している。ISSがすべての機能を使える期間は短縮され、場合によっては機能面では未完成のまま運用終了を迎えることになるかも知れない。

三番目が、9回の飛行すら行えなかった場合だ。この場合はとにかく打ち上げられるところまでシャトルを打ち上げて組立を進め、できたところまでで完成を宣言してしまう以外、手はないだろう。実態は未完成だが、政治的には完成ということにしてしまうのだ。

最後に2009年からの新しいアメリカの大統領が、ブッシュ大統領が決めた2010年9月末のシャトル引退を覆し、その後もISSが完成するまでシャトル運航を継続すると決断する可能性がある。

しかしNASAの予算はすでにシャトル後継の有人宇宙船「オリオン」と打ち上げ用ロケット「アレスI」、さらには有人月探査へと大きくシフトしている。シャトルの飛行を2010年以降にも実施するとなると、NASAの財政に大きな負担がかかることになる。

私は、NASAがSTS-131とSTS-133の打ち上げを断念する、二番目の可能性が高いと見る。打ち上げスケジュールは緩和される上にブッシュ大統領の示したシャトル引退の期限は守られ、しかも軌道上には外観上はほぼ完成したISSが残るからだ、見かけが完成していれば「ISSは完成した」と政治的に宣言することができる。しかし実際には艤装品が不足しており、すべての機能を発揮することはできないということになる。

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション・ライター。 1962年、東京都出身。日経BP社記者として、1988年〜1992年に宇宙開発の取材に従事。主に航空宇宙分野で執筆活動を行っている。著書に『われらの有人宇宙船』(裳華房)、『国産ロケットはなぜ墜ちるのか』(日経BP社)、火星探査機『のぞみ』の開発と運用を追った『恐るべき旅路』(朝日ソノラマ)、スペースシャトルの設計が抱える問題点を指摘した『スペースシャトルの落日』(エクスナレッジ)などがある。

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