GXロケット、計画見直しへ(4)〜こじれにこじれたプロジェクトをどう収束させるか ロケットは中止し、基礎研究にシフトを
(前回記事はこちら)
これまで3回の連載で見てきたように、GXロケットには、「技術開発を失敗させる要素」が全て盛り込まれていると言っても過言ではない。
- 基礎研究の絶対的な不足(液化天然ガス[LNG]など炭化水素系燃料の基礎的な燃焼特性データ、衝突型噴射器、複合材料の基本的物性など)
- 技術で決めるべきことを、政治的理由を優先して決める(GXロケットの規模からしては過大な、ロッキード・マーチン社の「アトラスIII」ロケット第1段の採用)
- 技術的要請からではなく、予算を取るという観点からの開発アイテムのスペックを決定する(技術開発を標榜する文部科学省に対し、「簡素で高度な設計」をアピール)
- 技術的に保守的であるべき商用ロケットの開発に、先端技術開発を組み込む(経済産業省と石川島播磨重工業[IHI]は商用ロケットを希望、宇宙航空研究開発機構[JAXA]はLNG推進系技術の開発希望)
- 過度に楽観的な開発スケジュールや予算の見積もり(開発フェーズ入りから3年で初号機打ち上げを設定)
- 省庁間の対立(文部科学省vs経済産業省)
- 開発遅延による周辺状況の変化(ロシア経済復活による第1段エンジン「RD-180」の大幅値上がり)
- 2006年の見直し後の、JAXAにおける人材の逐次投入
ここまでこじれた技術開発を、果たしてまだ強行すべきなのだろうか。
GXロケットについては、主にIGSを重要視する自由民主党議員を中心に、「IGSの単機打ち上げの需要が存在する以上、開発するべきだ」という意見がある。
これはロケットという乗り物の性質を理解していない議論だ。新開発のロケットはどうしても事故を起こす。新たな推進剤を利用した場合は特にそうだ。宇宙開発初期には、6連続失敗、7連続失敗というようなことが当たり前のようにあった。ロケットの設計技術が確立した1970年代以降でも、新規開発のロケットは大まかにいって最初の10回の打ち上げ中、2回程度は事故を起こしている。日本のH-IIロケットも7機中2機が失敗した。後継のH-IIAは6機目が事故を起こした。新規のロケット開発は、同時に事故を覚悟するということでもある。
「ロケットは運用初期に事故を起こしつつ、改良を受けて安全になっていく」というのは、残念ながら現在においても真理なのだ。
GXロケットが完成し、運用を開始しても最初の10機は2機程度、事故を起こすと考えるべきだ。そんなロケットでIGSを打ち上げるというのだろうか。少なくとも私ならば、GXの最初の10機でIGSを打ち上げるようなことはしない。単機打ち上げが必要でも、H-IIAロケットを使用する。すでに13機を打ち上げたH-IIAは、GXよりも信頼できる。
H-IIAは現行の情報収集衛星を2機同時に打ち上げる能力を持つ。単機打ち上げには能力過大であり打ち上げコストもそれだけかかる可能性がある。それでも打ち上げ失敗の確率を考えると、GXの最初の10機で打ち上げるよりずっとましだ。
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