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ハイビジョン月面画像をネット公開しなかったNHK

2007年11月22日

9月14日に打ち上げられた日本の月探査機「かぐや」は、月周回軌道上で、順調に科学観測の準備を進めている。日本放送協会(NHK)が搭載したハイビジョンカメラは、早速月面の撮影を開始し、11月7日には最初の月面画像が、次いで11月16日には、月の際から昇る地球と、月の際に沈む地球のハイビジョン映像が公開された。かつてない高精細の月面の画像であり、一般に与えたショックは、アポロ8号が撮影した有名な「地球の出」にも比肩するするものだった。

1968年にアポロ8号が撮影した「地球の出」(Photo by NASA:上)と、この11月に月探査機「かぐや」が取得した「地球の出」(中)と「地球の入り」(下)のハイビジョン動画像からのキャプチャー(Photo by JAXA/NHK)。NASAの画像は、教育用途、報道用途、非営利用途で出典を明記することで誰でも利用可能。一方、ハイビジョン動画像はネットで公開されず、キャプチャーの静止画像にも「JAXA/NHK」の著作権表示がかき込まれている。

ところが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とNHKは、肝心のハイビジョンクオリティの動画像を、ネットで公開することを許可しなかった。マスメディアの報道向けにHD-CAMテープに収録されたハイビジョン画像が配布されたものの、ネットでの公開は480×270ピクセルに縮小した画像のみ、それも可能な限り一般ネットユーザーがローカルにダウンロードできない形式で公開すること、という制限が課せられた。

「かぐや」の価値を一般に広く広報しなければならない立場のJAXAは、ネット公開をむしろ希望していた。渋ったのはNHKだった。しかし、この処置は2011年のアナログ放送停波とデジタルHDTV(高精細テレビ)放送移行を控えたNHKにとっても有害無益だったのではないだろうか。

公開を渋ったNHKにより、日本という国も、JAXAも、NHK自身も、そして何より素晴らしい画像に触れ損なった日本を含む世界中の人々が損をする結果となった。

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