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日本の太陽系探査は、現在単発の探査機計画によって実施されている。火星探査機「のぞみ」は1998年に打ち上げられたが、2003年の火星周回軌道投入断念の後も、新たな計画は動き出さなかった。現在企画されている金星探査機「PLANET-C」(2010年打ち上げ予定)も、欧州との国際協力である水星探査機「ベピ・コロンボ」(2013年打ち上げ)も、単発の探査計画であり、計画的に複数の探査機をシリーズで打ち上げていくというものではない。

宇宙開発の歴史を振り返ると、アメリカもソ連も太陽系探査を、シリーズ化した探査機を計画的に打ち上げる「プログラム的探査」を実施してきた。アメリカも旧ソ連も、1960年代初頭、それこそガガーリンの有人飛行以前から、継続的に火星と金星に探査機を送り込んできた。

あるいはアメリカの外惑星探査を例にとると、本当に外惑星に行けるかを試す「パイオニア10号」「同11号」、惑星のそばを通り過ぎる「ヴォイジャー1号」「同2号」、惑星周囲を周回して長期の探査を行う木星探査機「ガリレオ」、土星探査機「カッシーニ」という手順で進んでいる。

プログラム的探査は、太陽系探査にとって必須の手順なのだ。

日本の太陽系探査は、「はやぶさ」の成功によって、最初のとっかかりを作ることができた。今後、より一層の成果を出し、宇宙科学の進歩に貢献し、同時に国民の期待に答えるためには、「はやぶさ」を引き継ぐ「はやぶさ2」を実施し、日本にプログラム的探査を根付かせることが必要である。でなければ、今後も日本は単発の探査を散発的に実施し、「結果が出た、はいおしまい」という効率の悪い探査をだらだらと続けることになってしまう(別記事参照のこと)。

効率の悪い探査が、国民に対する背信となることは言うまでもない。

JAXAには「予算が足りないから宇宙科学を圧迫」という、単純な思考ではなく、今後どのようにして計画的に宇宙探査を実施するかを考えて、中期計画を策定することが求められている。そこには、今ひとつ信頼できないアメリカの有人月探査にどう関与するか、あるいはしないか、という問題も関係してくる。

「貧すれば鈍する」では話にならない。「貧すればこそ」、より一層の知恵と、未来を見た計画性が必要なのだ。

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション・ライター。 1962年、東京都出身。日経BP社記者として、1988年〜1992年に宇宙開発の取材に従事。主に航空宇宙分野で執筆活動を行っている。著書に『われらの有人宇宙船』(裳華房)、『国産ロケットはなぜ墜ちるのか』(日経BP社)、火星探査機『のぞみ』の開発と運用を追った『恐るべき旅路』(朝日ソノラマ)、スペースシャトルの設計が抱える問題点を指摘した『スペースシャトルの落日』(エクスナレッジ)などがある。

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