実現の瀬戸際に立つ「はやぶさ2」〜国内外の高評価と対照的なJAXA内での冷遇
一昨年、世界で初めて小惑星イトカワに着陸し、現在地球への帰還途中にある小惑星探査機「はやぶさ」を覚えているだろうか。「はやぶさ」による小惑星の接近観測と、着陸・サンプル採取の試みは、海外でも高い評価を受けた。
「はやぶさ」を開発した宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部・(JAXA・ISAS)は、成功を受けて、「はやぶさ2」構想を立ち上げた。計画は現在、今年度に新設された月・惑星探査推進グループ(JAXA・JSPEC:ジェイスペックと呼ぶ)に引き継がれている。
「はやぶさ2」は「はやぶさ」の同型機だ。「はやぶさ」は岩石主体のS型小惑星であるイトカワを観測したが、「はやぶさ2」は、有機物など炭素を豊富に含むC型小惑星に向かう。リスクとコストを最小にしつつ、科学的な成果を更に広げる狙いを持った構想で、2010〜12年の打ち上げを目指して検討が進んでいる。
しかし今、「はやぶさ2」の実現があやうくなっている。現在、JAXA経営陣は、JSPPECの検討チームに「はやぶさ2」を外国からロケットの提供を受けて打ち上げるよう指示を出している。「はやぶさ」を打ち上げたM-Vと同等以上のロケットを海外が無償で提供しなければ、「はやぶさ2」は実現できない状況だ。
JAXAは次期中期計画で資金難に苦しんでいる。このような場合、世界的に見てもまず宇宙科学が真っ先に圧迫されるものだ。しかし、「はやぶさ2」には重要な意味がある。計画的に探査を実施して成果を最大にする「プログラム的探査」という手法が日本に根付くかどうかが、「はやぶさ2」にかかっているのだ。
海外からロケットを調達せよ
現在、文部科学省の宇宙開発委員会は、アメリカの有人月探査に対応するため、月探査ワーキンググループという会合を作り、議論している。9月18日の第2回会合で、説明者として出席した川口淳一郎ISAS教授(JSPEC月・惑星探査推進ディレクタを併任)から、JAXAは「はやぶさ2 」を、国際協力を前提にして進める意向であるとの発言が出た。
現状では外国のロケットで打ち上げることが実施の前提条件となっているという。川口教授は、この前提条件について「指示されている」と述べ、JAXA首脳部がこのような意向を持っていることを示唆した。
つまり、JAXA首脳部は「はやぶさ2」打ち上げのためにH-IIAロケットを使用する意志がなく、「はやぶさ」を打ち上げた「M-V」相当のロケットを海外から調達せよと、検討の現場に指示が出ているということである。
国際協力ということは、JAXA経営側には、海外の商業打ち上げサービスに、お金で打ち上げを頼む意志もないことを意味する。「はやぶさ2」を、観測成果の共有を希望する外国との共同計画にして、海外のロケットにより無償で打ち上げてもらえ、でなければ計画をつぶして実施しないということである。
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