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■つまり、日本の宇宙開発は歴史的必然に従って衰退するとお考えなのでしょうか。

平岩 そうです。実のところ、現在の日本の宇宙開発は、国内需要を満たすには十分なところに来ています。現在の規模を維持し、国民生活に役立つ衛星を官費で打ち上げ続けるための技術を、日本はすでに全部手に入れているといっていいでしょう。国内だけを見ていると、ハングリーになる理由がありません。

■内弁慶でいるにはH-IIAで十分ということですか。

平岩 ですから今後の選択肢の一つは、内向きになって、日本のことだけを日本でやることです。国際的なプレゼンスや影響力などということを考えず、国民が有効と感じられる実用的な宇宙利用を、総花的かつ小規模に進めるというものです。

■現状を変えなくていいので、痛みを感じなくてよい行き方ですね。

平岩 もう一つは、痛みに耐えて真の意味の選択と集中を進め、世界各国が、否が応でも日本に一目置かざるを得ない、「日本と国際協力をしたい」「日本に技術を提供したい」と思わざるを得ない、先鋭的でとがったミッションをたとえ規模は小さくとも次々と実施するという行き方です。

■小惑星探査機「はやぶさ」のような、世界初にして世界唯一のミッションを、小規模でもいいから次々に立ち上げていくということでしょうか。

しかし、その道を選ぶのならば、不要なミッションは、たとえ計画進行中でも、トップが責任を持ってどんどん切っていく覚悟が必要になりますね。

平岩 いずれにせよ、今後のインドの伸長を考えると、日本が迷っていてもよい時間は短いでしょう。

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション・ライター。 1962年、東京都出身。日経BP社記者として、1988年〜1992年に宇宙開発の取材に従事。主に航空宇宙分野で執筆活動を行っている。著書に『われらの有人宇宙船』(裳華房)、『国産ロケットはなぜ墜ちるのか』(日経BP社)、火星探査機『のぞみ』の開発と運用を追った『恐るべき旅路』(朝日ソノラマ)、スペースシャトルの設計が抱える問題点を指摘した『スペースシャトルの落日』(エクスナレッジ)などがある。

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