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日本の宇宙開発はインドにも対抗し得ない〜JAXA・平岩主任研究員に聞く(3) 分析で浮上する衛星偏重と投資分散 日本は世界での“居場所”を作れるか?

2007年5月24日

(前回の記事はこちら

 平岩氏は、日本の宇宙開発を分析していくと、まず宇宙輸送系と衛星系では、予算が衛星系に偏重していることが分かると指摘する。そして、衛星系の実態を海外と比較すると、少ない予算に、それ以上に少ない人員、あまりに多いプロジェクトという実態が浮かび上がるという。

 その状態では、諸外国は日本に国際協力をするだけの価値を見いだせない。宇宙分野において日本は、このままでは孤立する一方である。

 平岩氏は分析から、日本の将来展望には2つの可能性があると指摘する。一つは、ひたすら内弁慶に国内向けに言い訳のたつ計画をこのまま続けること。もう一つは選択と集中の痛みに耐えて、諸外国が日本に一目置かざるを得なくなるような、とがったミッションを、小規模であっても次々に実施する行き方だ。

宇宙輸送系への投資を続ける各国、縮小した日本

■将来有望そうなインドですが、では閉塞感漂う日本の宇宙開発は、インドとどこが違うのでしょうか。また問題点があるとして、それは是正できるものだと考えますか。

平岩 組織の特徴は、金と人に現れます。そこで、インドからは離れるのですが、2004年度のデータを用いて宇宙航空研究開発機構(JAXA)を含む日本全体、米航空宇宙局(NASA)と軍需を併せたアメリカ全体、そして欧州については欧州連合(EU)の代表ということで欧州宇宙機関(ESA)の予算配分を比較してみました.この分析は2006年度の航空宇宙学会総会で発表したものです。

日米欧の予算の内訳。青が航空と基盤科学、緑が有人宇宙活動、赤が衛星関連、灰色がロケットなどの宇宙輸送系

それぞれの予算の中で、どの部門にどれだけを配分しているかをパーセンテージで比較した図です。一見して分かるように、日本は衛星開発が54.6%と突出しています。一方、ロケット部門はアメリカが35%ほど、ESAも予算の27.1%を支出しているのに対して、日本は7.9%でしかありません。

これはアメリカもEUも商業衛星メーカーの力が強いので、官が科学探査以外で衛星を開発することが少ないことが理由でしょう.ですからアメリカとESAの配分は良く似ています.

アメリカは宇宙輸送系の予算をスペースシャトルと「デルタ4」「アトラスV」ロケットに、ESAはアリアン5や小型の固体ロケット「ヴェガ」に投資しています。

日本はと言えば、H-IIAの改良、H-IIBの開発、GXの開発、そして次期小型小型固体ロケットの開発に投資しています。

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