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もしGPS衛星が破壊されたら〜中国の衛星破壊実験で考える最悪のシナリオ

2007年2月21日

中国が衛星破壊実験を実施してから40日あまり、事実が公になってから約1カ月が経過した。その間、アメリカが宇宙分野での中国の協力推進を凍結すると表明するなど、中国に対する国際的な非難が続いている。

中国側は事態の沈静化に動いている。2月12日には、曹剛川国防大臣が訪中した額賀福志郎前防衛庁長官に対して「今後、実験を実施する考えはない」と言明した。

ところがその一方で15日には人民日報が、「中国は責任ある大国となることを国際社会から期待されており、国防力がなければ責任は果たせない」という趣旨の論文を掲載した。衛星破壊実験に直接の言及はしていないが、図らずも実験が同国の世界的大国への指向の一環であることを鮮明にしてしまった。

ここでは、とりあえず衛星破壊の道義的是非を考慮せずに、中国が衛星破壊能力を行使した場合、最悪日本にどのような影響が及ぶかを考えてみよう。現実的な範囲内で最悪のケースを想定するのはなかなか困難だが、日本と中国が直接交戦状態に陥らないとするならば、どの衛星を破壊されるともっとも日本に影響が及ぶかの特定は容易だ。

アメリカのGPS衛星が破壊されると、日本にもっとも重大な影響が表れる。

そのようなことになる可能性はごく低いだろう。過敏になる必要はない。

それでも、今後日本の安全保障を考えるにあたってはアメリカのGPS衛星が破壊されるというケースを想定し、影響を最小限に押さえるための政策を考えておく必要がある。

台湾海峡有事で、米中が対立したら

中国が実戦において衛星破壊を実施するということは、中国がどこかの国と交戦状態に入るということだ。まず、直接日本と交戦状態になるケースを排除しよう。その場合は日本が利用しているどの衛星を破壊されても、日本国内に影響が発生するからである。それが民間通信衛星だろうが、ミサイル防衛構想のセンサー衛星だろうが、影響が出るという一点では変わりはない。

問題なのは、中国が日本ではない第三国と交戦状態に入った場合だ。その場合、第三国が日本の利用している衛星を保有しているというのが、日本に影響の及ぶ条件となる。同時に、その衛星を破壊しても、中国には影響が出ないということも、衛星破壊の条件となる。

これらの条件に、さらに中国周辺の潜在的緊張が存在する地域と、そこに関与する国という条件を重ねると、日本に影響が及びそうなケースはただひとつに絞られる。すなわち、台湾海峡有事で、中国がアメリカと交戦状態に入り、中国がアメリカのGPS衛星を破壊するケースである。

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